キャスト全員、ストーリーが分からない!? 台本なし、現場で演出…リム・カーワイ監督の映画づくり
2020年11月1日 21:30

第33回東京国際映画祭のTOKYOプレミア部門に出品された「カム・アンド・ゴー」が11月1日、東京・EXシアター六本木で上映され、渡辺真起子、桂雀々、兎丸愛美、尚玄、望月オーソンらキャスト陣と、リム・カーワイ監督が舞台挨拶に登壇した。
大阪でサバイブするアジア人たちの実像をめぐる、未曾有のノンストップ群像劇。AV嬢と偽って接待に駆り出される韓国女性、夢ばかり大きいネパール青年、帰国を許されないベトナム青年、借金を抱えた沖縄出身の映画監督――それぞれの人生が展開する。冒頭でカーワイ監督は、コロナ禍の現状に寄せ、「映画のタイトルは『カム・アンド・ゴー』、行ったり来たりするという意味ですが、今はなかなかできない時期ですよね。東京国際映画祭が、行ったり来たりする映画を招待してくれて、本当に嬉しく思います」と挨拶した。
全員まだ作品を見ておらず、現場では台本がなかったことから、この日の舞台挨拶はキャスト陣が「ストーリーが分からない」と明かす少々カオスな雰囲気に。桂は「本職は落語家なので、役者に挑戦させて頂いたんですが、この作品にはそもそも台本がございません。もともと私は『イイダさんという役でお願いします』ということしか聞いていなかったんです(笑)。現場では監督の言葉からしか、動き方やしゃべり方が分からず、ストーリーもサスペンスなのかコメディなのか全く分からない状態で(笑)」と訴える。そして、「今日はどこに自分が出ているのか、自分探しに来た形でございます」といい、笑いを誘った。
カーワイ監督の独特な映画づくりついて、他のキャスト陣からも証言が続々と寄せられる。尚玄は「僕はミーティング、衣装合わせの時に資料を1枚もらったんです。でも資料に書いてないのに、監督が急に『尚玄さんは沖縄の人をやりましょう』『三線弾きましょう』と言い出して。何年も弾いていなかったんですが、頑張りました」と、驚きのエピソードを披露。望月も「ストーリーは分かんないし、役の名前も覚えてない……(笑)」と明かし、会場をざわつかせる。慌てて「アメリカと日本のハーフの役です。皆さんと一緒に、(作品を)楽しみにしています」と言い添えていた。
そんな証言の数々に動揺したのか、カーワイ監督がマイクを構えずに話し始めるというハプニングも発生。最後にカーワイ監督は、「2時間40分、長いと思われるかもしれませんが、見ているとすぐ終わってしまうんですよね。なぜかというと、登場人物が多くて、7カ国の言葉が出てくるから。字幕を追いかけながら、集中して見て下さい」とアピールしていた。
第33回東京国際映画祭は、11月9日まで開催。
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