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黒沢清監督「スパイの妻」ベネチアでお披露目 女性心理の描き方を現地プレスが称賛

2020年9月10日 15:00

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日本からZoomで会見に応じた
日本からZoomで会見に応じた

[映画.com ニュース]現在開催中の第77回ベネチア国際映画祭で、現地時間の9月9日、コンペティションに入選した黒沢清監督の「スパイの妻」が披露され、大きな拍手で迎えられた。上映前には、今回新型コロナウィルスの影響で現地に来られなかった黒沢監督のビデオメッセージが流された。

黒沢監督は、「世界で初となる正式な上映を、ベネチアで行えることが夢のようです。なんとしてもイタリアに行きたかったのですが、叶わずに残念です。国境を越えるということの難しさを今回実感しました。ただ、作品そのものは国境など軽々と超えてそちらに届くことと思います。たぶん僕が喋るよりも、作品の方が雄弁に何かを語りかけてくれると信じています」と、挨拶をした。

また公式上映に先立つ記者会見は、黒沢監督に加えて主演の蒼井優高橋一生が顔を揃え、日本からZoomで会見に応じた。黒沢監督は本作の企画について、「僕は以前から、自分にとって大きなテーマのひとつは社会と個人がどうあるべきか、どのように共存、あるいは対立するのかというのが興味深いテーマでした。ただ現代が舞台の場合、一見すべてが自由に見えるので、社会と個人は入り混じり、対立がはっきりと見えたものにはならなかった。それで両者の対立がよりはっきりと見える1940年代前半の、戦時下の日本を取り上げたいとずっと思っていました。今回ようやく、それを実現することができました。そしてまた、スパイと聞いた瞬間、なにか映画的、ジャンル的な魅力が発揮できるとも思いました。スパイという言葉は、映画にとってとても魅惑的な言葉のひとつだと思います」と語った。

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優作と聡子という愛し合う夫婦に扮した高橋と蒼井は、ふたりの心情の変化について問われ、高橋は「ふたりの関係はとても繊細なもので、お互いが思っている心情は、その形が違っていて、表層的に流れているものと内側に流れているものの違いが黒沢監督の手により切り取って頂けたという感覚があります。心情的なものは、脚本に書かれていることに忠実に、自分の主観も加味しながら、現場で蒼井さんとお芝居で会話していくということを心がけました」と返答。一方蒼井は、「聡子にとって、それまでは優作がいて自分がいるという感覚で生きていたのが、途中から優作の目に自分がなっている。そういうセリフがありますが、共に生きるという喜び、何かを成し遂げる、一心同体になっていく喜びといったものが、この物語を動かしていくと思うので、そこはとても大切に演じましたし、聡子の生命力に負けないように、その衝動に置いていかれないように演じたつもりです」と語った。

本作はもともとNHKの8Kドラマとして作られたものを、1本の映画に再編集したもの。1940年代前半、日本が軍国主義へと傾いていくなか、偶然国家機密を知り、危険を冒してもそれを世の中に発表しようとする優作と、そんな夫を信じて支える妻、聡子の関係を描く。正義と国家への忠誠、愛情、疑惑、嫉妬が絡み合い、サスペンスと社会的なテーマ、ヒューマニティが融合した出色の出来ばえだ。8Kによる映像も、ドラマ用だったとは思えない映画的な作りを感じさせる。

イタリアのテレビ局Raiの記者は、「これまで見たコンペ作品のなかでベストだと思う。とくに戦時下における困難な状況のもとで変化していく女性の心情が、巧みに描かれ、心を動かされた」と絶賛していた。(佐藤久理子)

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