伊藤沙莉&瀧内公美主演「蒲田前奏曲」公開は9月25日!プロデューサー・松林うららが明かす製作への思い
2020年7月15日 09:00

[映画.com ニュース] 女優・松林うららが自らの地元である東京・蒲田を舞台に出演、プロデュースする連作長編映画「蒲田前奏曲」が、9月25日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、キネカ大森で公開されることが決まった。3月に行われた第15回大阪アジアン映画祭のクロージング作品として上映された今作には、進境著しい女優の伊藤沙莉と瀧内公美が主演している。
連作スタイルで構成されている今作は、売れない女優・マチ子の眼差しを通して“女”であること、“女優”であることで女性が人格をうまく使い分けることが求められる社会への皮肉を、周囲の人々との交わりを介在しながら描いている。これを中川龍太郎(第1番「蒲田哀歌」)、穐山茉由(第2番「呑川ラプソディ」)、安川有果(第3番「行き止まりの人々」)、渡辺紘文(第4番「シーランスどこへ行く」)という4人の監督が、各自の手法でコミカルに手掛けることで長編作へと仕上げていった意欲作だ。

製作に至ったきっかけは、「飢えたライオン」に主演したほか舞台やテレビドラマで活躍する松林が、「女性の置かれている立場や生きづらい部分を女性目線と男性目線を交え、1人の女性が環境によって顔が違って見えるというテーマを元に、何か新しい表現ができないか」と思い立ったことにある。その後、「4人の監督のシナリオが出来上がったとき、それだけではない女性に対する普遍的な問題提起になるのではないかと感じました」と胸中にも変化が。それだけに「窮屈な日本で、現実と立ち向かう女性がこの作品には描かれているので、観てくださった方がフィクションの垣根をこえて、身の回りのことを再度考えるきっかけになれば幸いです」と思いを明かす。

行定勲監督作「劇場」でも好演している伊藤は、穐山監督がメガホンをとった「呑川ラプソディ」に帆奈(はんな)役で主演。「ハンナという女性にどう寄り添えば良いか、またこの女性の強気の裏にある不器用さ、寂しさをどう表現しようかとても迷い、悩みましたが、自分なりの『蒲田前奏曲~ハンナ編~』を頭に描きつつ、また一方で女友達の前での自分はこの中だったら誰だろう、と自分を誰に投影するかを楽しみつつの撮影でした」。そのなかで、主人公・マチ子に対して共感し思いめぐらすことがあったようで、「空回りするほどの熱さはどんどんと冷めていくし、冷静にいろんな方向から自分を見つめ直すとどんどんとわからなくなるし、深く低く唸るほどわかる、わかるよと思う部分はたくさんあったので、見て頂いた方々の多種多様の唸り声を聴くのがとても楽しみです」と話している。

一方、安川監督作「行き止まりの人々」で黒川瑞季役に息吹を注ぎ込んだ瀧内は、松林と初めて会ったときのことに触れ、「いま自分がどうしても言いたいことを映画にしたい、と仰っていました。わたしの作品は#metoo、セクハラに関することが題材で、わたし自身はそれに対してぼんやりとした認識しかなかったので、難しいかも」と感じたという。それでも、「うららさんとお話ししていくうちに、この題材についてもっと深く考えたいと思い、撮影に参加しました。出来上がった作品がコロナの影響もある中、劇場で上映していただけることが本当に嬉しいです。うららさんの想いと4名の監督作品がひとりでも多くのお客様に届きますように」とコメントを寄せている。
なお、同作の宣伝費支援のためのクラウドファンディング(https://motion-gallery.net/projects/kamatapreludefilm/)がスタートしている(9月23日まで)。
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