世界最大の米映画館チェーン、VODを優先したユニバーサル映画の上映をボイコット
2020年5月1日 07:00
[映画.com ニュース] 世界最大のシネコンチェーンであるAMCが、今後は米ユニバーサル・ピクチャーズの上映をボイコットすると表明した。
ユニバーサルは、ドリームワークス・アニメーションによるミュージカルアニメ「トロールズ」のシリーズ第2弾「トロールズ ミュージック★パワー」を全米公開予定日だった4月10日からプレミアムVODとしてレンタル販売を開始。同作は新型コロナウイルスの影響により劇場公開を取りやめ、VODスルーに踏み切った最初の作品となった。
ユニバーサルによると「トロールズ ミュージック★パワー」は配信開始から3週間で1億ドルの収益を上げている。同期間での前作の北米興行収入が1億1600万ドルだったことを鑑みても、大成功といえる。
そんななか、親会社NBCユニバーサルのジェフ・シェルCEO(最高経営責任者)は、米ウォールストリート・ジャーナル紙のインタビューで「プレミアムVODの可能性を証明した」と明言。さらに「劇場が再開すれば、われわれは両方(劇場とVOD)のフォーマットで映画を公開していくことになる」と宣言している。
配給会社と劇場主のあいだでは、「シアトリカル・ウィンドウ」(映画作品の劇場公開開始から二次使用開始までの期間)を3カ月ほど空けるルールが存在するが、シェルCEOの発言は新作を劇場公開と同時に配信したり、劇場を迂回したりする可能性を示唆している。
これに対し、AMCのアダム・アーロン会長兼最高経営責任者は激怒。「残念なことだが、ユニバーサルの独りよがりな行動や狙いに関するジェフのコメントにより、我々に選択肢はなくなった」と、ユニバーサル・ピクチャーズのドナ・ラングレー会長に向けた書簡で説明。「今後、AMCはアメリカ、ヨーロッパ、中東のどの劇場でもユニバーサルのいかなる映画を上映しない」と宣言した。
また、劇場主の業界団体である全米劇場所有者協会(National Association of Thetre Owners)も、「この前例のない環境における異常事態は、ユニバーサルが劇場公開を迂回するための足がかりにする正当な理由にならない」と牽制している。