映画館が再開したら、客足はいつ戻るのか? コロナ終息後の観客動員を予想する
2020年4月24日 16:30
新型コロナウイルスの蔓延による緊急事態宣言を受け、日本中のほぼすべての映画館が営業を休止しています。自宅での鑑賞をはじめ、映画やコンテンツを楽しむ需要自体は根強くあるものの、“映画館という場”は窮地に立たされてます。
コロナ禍の終息後、劇場が営業を再開したとしても、客足は果たして例年通りに戻るのでしょうか? そして“戻る”のであれば、それはいつ頃なのでしょうか? そこで、映画.comはユーザーにアンケートを実施。映画ファンが「次はいつ映画館へ行きたい」と思っているのかを探りました。
アンケートは4月13~16日に実施。今回、集計対象としたのは、緊急事態宣言が発令されていた7都府県に在住し、かつ年間に劇場で3本以上は鑑賞する映画ファン(2174人)です。回答のうち「年間の劇場鑑賞本数」を軸にグルーピングし、「最後に映画館で映画を見たのはいつですか?」「次に映画館に行くのはいつ頃になると思いますか?」などの設問ごとに分析しました。
なおこの記事内では、年間で3~11本を鑑賞する(つまり月に1本未満)ユーザーを“ライトユーザー”、12~24本(月に1、2本)のユーザーを“ミドルユーザー”、25本以上(月に2本以上)のユーザーを“ヘビーユーザー”と定義し、アンケート結果に言及していきます。
まずは回答者の属性ごとに、「最後に映画館で映画を見たのはいつですか?」の設問を見ていきます(表1)。ライトユーザーは、コロナ禍がまだ対岸の火事と思われていた「2月」が28%で最も多く、いよいよ危機感が蔓延し始めた「4月」は2%という結果に。映画館から急激に足が遠のいたことがわかります。
ミドルユーザーは「3月」が51%と最多。「Fukushima 50」「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」など、注目作の公開は続いていたので、映画熱の高いユーザーは劇場へ多く足を運んでいたようです。一方で「4月」は、5%まで下落。3月下旬の外出自粛要請などを受け、多くのユーザーから「余暇に映画館へ行く」という選択肢がなくなったことがうかがえます。
そしてヘビーユーザーも「3月」が60%とダントツ。しかし特筆すべきは、「4月」が20%であり、「2月」(16%)を凌駕している点です。平日に営業しているシネコンや、ミニシアターなどで映画を鑑賞したのでしょう。「映画館が営業している限りは足を運ぶ」という、高いモチベーションがうかがえます。
続いて「次に映画館に行くのはいつ頃になると思いますか?」を見ていきましょう(表2)。どのユーザーも「わからない」が最多となっており、コロナ禍が終息し、安心して外出が楽しめるようになるまで映画館へは行けない、という映画ファンの心理がわかります。
そして、ライトユーザーほどその傾向は顕著です。他の属性に比べると「秋から冬」「来年」「わからない」の割合が多く、次回鑑賞へのモチベーションがやや低いようです。一方で、年間鑑賞本数が多いユーザーほど「GW明け」「夏頃」という近い時期への回答が増え、ヘビーユーザーでは39%が「GW明け」と答えています。
「最後に映画館で映画を見たのはいつですか?」の結果とあわせて分析すると、「ライトユーザーほど警戒しているが、ヘビーユーザーほど早く映画館へ行きたい」という傾向が浮き彫りになってきます。さらに、コロナ終息後の客足の戻りについて、以下の推測が導き出されます。
コアな映画(インディーズ作品など)への客足は比較的早い時期に戻るが、ライトな映画(ファミリー作品など)は時間がかかりそう。密室に対し警戒心を持っているライトユーザー、特に複数人で来場するため興行の好成績につながるファミリー層や若年層などが、コロナ終息後に安心して劇場へ来られるような“映画業界全体の取り組み”が、早期のV字回復の鍵を握っている、と言えそうです。
また「GW明け」「夏頃」という回答の合計は、ライトユーザーでは41%、ミドルユーザーでは49%、ヘビーユーザーでは56%と、いずれも高水準です。つまり(私たちの願望もある程度含まれていることは否めませんが)、多くの人々が「できれば早く、映画館へ行きたい」と思ってくれている、と言えるのではないでしょうか。
一刻も早くコロナウイルスを抑え込み、人々がまた安心して映画館へ行ける日が来ることを、私たちも切に願っています。そしてそれは、映画業界全体、ひいては日本全体が一丸とならなければ、実現されないものでしょう。
このアンケートでは、「外出自粛により、ネットで映画やドラマを見る機会は増えたのか?」も調査しました。「ネットで映画やドラマを見る機会は増えましたか?」と質問し、その増減を分析しました(表3)。
まず、全体の77%(1676人)が「ネット鑑賞している」と答えており、映画ファンのほとんどが普段からネットでコンテンツを見ていることがわかります。また表4では、どのユーザー属性も多く(47~49%)が「(鑑賞機会が)増えた」と回答しており、余暇を映画やドラマで埋める人が増えたこともわかりました。
一方で「特に変わらない」はそれ以上の回答数で、ほぼ半数を占めています。さらに、年間鑑賞本数の少ないライトユーザーほど「増えた」の割合が増加し、ヘビーユーザーになればなるほど「特に変わらない」の割合が増加。ということは、ライトユーザーほどこの機会にネット鑑賞に親しみ始めた人が多く、コアな映画ファンほど“映画は日常の一部”であり、多くの人が以前から劇場/ネット鑑賞を習慣化していたことがわかります。
鑑賞プラットフォームに目を向けると、ネット鑑賞者(1676人)の実に77%がAmazonプライムビデオを利用していることがわかりました。次いでNetflixが48%、huluが16%で続きます。さらに、加入しているプラットフォームの平均数は2.3で、劇場鑑賞本数が多いヘビーユーザーほど、加入メディアは増える傾向にありました。
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