シネマテーク・フランセーズ、所蔵作品の修復版を1日1本無料配信
2020年4月20日 15:30
[映画.com ニュース] 新型コロナウィルスの影響で、フランスではマクロン大統領によって外出制限令が5月10日いっぱいまで延長された。11日以降も、レストランやデパート、映画館などの商業施設はすぐに再開はできず、また多くの人が集まるイベントやフェスティバルは7月半ばまで禁止されている。
そんな状況のもと、国立映画映像センター(CNC)は映画業界の窮状を救うために、これまでの規定にあった映画公開後4カ月はプラットホームやDVDのリリースを禁止する規定を特別に解除することを発表。これを受けてオリビエ・アサイヤスの「Cuban Network」など、公開から日が浅い作品でも仏国内であればストリーミングで観られるものが出てきた。ただし作品によっては秋に再ロードショーを予定しているものもある。またパリ・オペラ座やポンピドゥーセンターなど、所蔵作品や過去の演目をサイトで公開するサービスを開始したところもある。
そのなかでも太っ腹な企画を打ち出したのが、パリのシネマテーク(映画博物館)だ。創設者アンリ・ラングロワに因んでアンリと名付けられた同館のサイトで、午後8時半(現地時間)に毎晩1本ずつ、シネマテークが所蔵する修復版コレクションのなかから選ばれた作品がアップされる(https://www.cinematheque.fr/henri/)。作品はそのままサイトに残るので、日がたつにつれ、観られる作品がどんどん増えていく次第。
4月9日の初日から3日間は、シネマテークのシアターのひとつにその名がつけられている、サイレントからトーキー時代にわたり活躍した巨匠ジャン・エプスタインの「アッシャー家の末裔」(1928)など、彼の3作が連続上映された。「アッシャー家の末裔」はエドガー・アラン・ポーの原作(短編「アッシャー家の崩壊」)で、その後も映画化されている人気の題材だが、エプスタインの無声映画はいま観てもその技法の多彩さやイマジネーションの豊かさに驚かされる。故ラングロワは本作について、「この傑作のなかにすべての要素がひしめいている。たとえば完璧に制御された編集とリズム。そこではオーバーラップやトラベリングなど、カメラが自在にその役割を演じるが、それらはすべて根拠があり、決して意味のないものではない」と賞賛している。
本サービスは短編から長編、ドキュメンタリーやアニメーションまで、時代やジャンルもさまざまな作品が紹介される。共通するのは、なかなかふだん目にすることのないレアな作品であるということで、さすがは膨大な所蔵コレクションを誇るシネマテークならではだ。映画教育という観点からも、これほど充実した機会はないだろう。外出制限下の身にはなんとも嬉しい限りであるのはもちろん、海外からもアクセスできるので、この機会にぜひ活用して頂きたい。(佐藤久理子)
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