何回もゾーンに入った――“怪演”話題のベッキーが語る「初恋」
2020年3月2日 12:00

鬼才・三池崇史が監督人生で初めて手掛けたラブストーリー「初恋」(公開中)。主演の窪田正孝、ヒロインの小西桜子をはじめキャストたちの熱演が光るなか、異質な存在感を放つのが、ベッキーだ。彼氏を殺され、復讐の鬼と化す女・ジュリをすさまじい迫力で演じている。

余命わずかなボクサーが、1人の少女を救ったことから裏社会の抗争に巻き込まれていく濃厚な一晩を描く本作。見た目に反して純粋なジュリは、一度キレたらとにかく止まらない。バールを手に、彼氏のヤス(三浦貴大)を殺した犯人を追っかけ回す。ぶっ飛んだ役柄を演じきったベッキーに、撮影を振り返ってもらった。
私はあまり読解力がないので、台本を読んだときには怒っているなぁと思うくらいだったのですが、現場で恋人が死んでいる姿を見たときに、自分の身近な人の命が奪われたことを想像して気持ちが爆発しました。
三池監督も、役作りというよりは現場で生まれたものを大切にしてほしいとおっしゃっていました。現場でいい科学反応があるかなと思っていたら、私の想像以上に悲しみと怒りが爆発したので、びっくりしました。愛する人の命が奪われることを想像して、気持ちを作ることができたんだと思います。

キレ方、泣き方についてはほぼ何も言われませんでした。すごい方なので、「この役はこうだ」と語る方なのかと思っていたら、私たちに委ねてくださったので、逆に頑張らないといけないと思いました。
私は、カメラを回す瞬間にすぐ気持ちが100%まで作れないタイプなんです。助走が必要なので、まずスタッフさんに回せる状態になったら教えて下さいと伝えて、そこから気持ちを作ります。感情がマックスになったところで、「今カメラを回してください」と言うのですが、その気持ちになっているのに、それを言うと気持ちが戻ってしまうこともあります。でも、三池監督は私の感情がマックスになったときに、毎回「はい、カメラ回して」と言ってくれたんです。初めて会った方にこんなに理解していただいたことがうれしくて、そこは三池監督のすごさを感じましたし、本当に助かりました。
三池監督からの細かいディレクションはなかったですが、「ただキレるんじゃなくて、恋人に対しての“初恋”があるからっていうのを忘れないでね」っておっしゃっていたので、“初恋”というのを根底において演じました。三池監督は、ジュリが加瀬(染谷将太)を追いかけ回すのも「ある意味初恋だから。好きになるとまっすぐになる感じが初恋だから」とおっしゃっていました。ジュリがモニカをかわいそうだなと思うシーンでも、「これもモニカに対しての初恋だから、優しさが生まれた瞬間だから」って、演技の助けになるような一言を言ってくれました。

できるだけ自分でやりたいという思いがあったので、撮影前にアクション教室に通ってちょっとでも説得力が出るよう練習しました。演じているとき、私はただジュリを生きていたので、笑いましたっていろんな方から言っていただいても「どこでですか?」っていう感じなのですが(笑)、そういう声をいただけてうれしいです。
窓を突き破るシーンは、一番大変な撮影でした。何度も練習して、リハーサルではできたのに、本番になると足がすくんでできなくなってしまい、時間もかかってしまいました。窓枠の狭い中をジャンプして前にも進まないといけなかったのですが、壁のように感じて怖くなってしまって、平謝りしながら何度もやらせていただきました。現場の皆さんに申し訳なかったのですが、笑いが起きたのならあのときの気持ちも成仏できました(笑)。

2017年に、約14年ぶりの舞台をやらせていただきました。今田耕司さんが主演、鈴木おさむさんが演出をされた「三途会~私の人生は罪ですか?~」という作品なのですが、そのときにゾーンに入る感覚があったんです。自分ではコントロールできないような感覚で、「初恋」でも、恋人を亡くして泣きわめくシーンなどで何回もゾーンに入りました。
その舞台の初日の際、鈴木おさむさんから「お客さんは、魂を通したベッキーのセリフが聞きたいんだと思うよ」というお言葉をいただきました。そのときに、セリフと魂が合体しないといけないんだと本当に実感して、千秋楽を迎えたときにもっともっとお芝居がしたいなって思いました。もちろん、今もバラエティーが大好きですし、恥ずかしくて女優とだけ名乗ることは一生できないと思うのですが、もともと欲張りな方なので。今後も、自信のないお色気系以外はどんな役柄でも挑戦したいです。
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