空爆された病院で、母は娘を探し続ける 「娘は戦場で生まれた」緊迫の本編映像
2020年2月25日 14:00
[映画.com ニュース] 戦地シリアで、死と隣り合わせの中でカメラを回し続ける“母”の姿をとらえた、第72回カンヌ国際映画祭の最優秀ドキュメンタリー賞受賞作「娘は戦場で生まれた」の本編映像がお披露目された。空爆された病院で逃げ惑う人々、取り乱しながら娘を探す母など、“戦争の真実”が臨場感たっぷりに映し出されている。
第92回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされ、55を超える映画賞(2019年12月時点)を獲得した本作。第2次世界大戦後に起こった史上最悪の人道危機とも言われ、いまだ解決を見ないシリア内戦で、2012年から16年にかけて起きた大都市アレッポでの未曽有の戦闘を、ジャーナリスト志望の学生だったワアド・アルカティーブ監督が撮影した。
ジャーナリストを夢見るワアドは、デモ運動への参加をきっかけにスマホでの撮影を始める。しかし、平和への思いとは裏腹に、内戦は激化の一途を辿り、アサド政権により美しかった都市は破壊されていく。ある日、ワアドは医師を目指す若者ハムザと出会う。彼は仲間たちと廃墟の中に病院を設け、空爆の犠牲者の治療に当たっていたが、多くの人々が血まみれの床の上で命を落としていく。非情な世界の中で、ふたりは夫婦となり、やがて女の子が誕生。自由と平和への願いをこめ、“空”を意味する“サマ”と名付ける。そんな幸せも束の間、政府側の攻撃は激しさを増していき、ワアドは家族や愛すべき人々の生きた証を映像として残すことを心に誓う。
本編映像は、街で最後の医療機関となったハムザの病院が空爆を受ける、衝撃的なシーンを活写。戦時国際法によって病院などの医療施設への攻撃は禁じられているが、アルカティーブ監督のカメラには院内の人々が逃げ惑う様子が、克明におさめられている。ドーンという地響きのような音の後に、白煙が立ちこめる廊下。「子どもたちを避難させろ」「看護師を呼べ!」という人々の緊迫した言葉が響き渡る。アルカティーブ監督はそばにいない娘の身を案じ、必死に人々に行方を聞き回るが、戦争の真実を伝えるべく決してカメラは止めない。最後は無事に再会したサマがミルクを飲む様子が、一筋の希望のように切り取られている。
「娘は戦場で生まれた」は、2月29日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。公開初日にはイメージフォーラムで、アルカティーブ監督と観客による、スカイプでのQ&Aセッションも実施される。
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