是枝裕和監督、「真実」“特別編集版”でのイーサン・ホークの貢献ぶり明かす
2019年11月7日 13:00
[映画.com ニュース] 是枝裕和監督がフランスを代表する女優カトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュ共演で母娘のドラマを描いた映画「真実」の舞台挨拶が11月6日、東京・TOHOシネマズシャンテで行われ、上映前に是枝監督と日本語吹き替え版でシャルロットの吹き替えを担当した子役・佐々木みゆちゃんが登壇した。
国民的大女優の母と、その陰で複雑な思いを抱えて生きてきた娘のドラマを描いた本作。11月1日から公開されている“特別編集版”は、イーサン・ホークをはじめ、そばで彼女たちを支え、見守る男性陣にもスポットライトが当たった内容となっている。
今回の特別編集版について「これはもともとの脚本に近い形なんです」と語る是枝監督は、「今まで公開していた通常版に比べて、もう少しだけイーサン・ホークをはじめとした男たちが見たかったなという人たちに向けた映画です。ダメな男性陣が多めに出てくるゆるやかな編集になっています」と解説。是枝監督自身、「通常版で(男性陣の出演シーンを)カットするのはもったいないなと思っていた」と前置きしながらも、母と娘の話のエピソードを中心とした方がより観客に届きやすいのではないかと思った、という判断もあったという。
この日は、通常版も含めて本作を複数回鑑賞したという観客が多数来場。そうした熱心なファンの前に立った是枝監督は「偶然ですが、今日はイーサン・ホークの誕生日。彼にフィーチャーしたいい日になりましたね」と笑顔。そして、舞台挨拶に立ったみゆちゃんは「わたしの学校の校長先生から、中学生の頃からカトリーヌ・ドヌーブさんがあこがれだったから、すごいねと言われて。うれしかったです」とニッコリ。さらに是枝監督に「次は『万引き家族2』を作ってください」とリクエストし、会場を沸かせるひと幕もあった。
そして上映後には、是枝監督が単独でティーチインを実施。ホークのファンだという女性から「イーサンのことを何でもいいから教えてください」とリクエストされると、「チャーミングだし、色っぽいし、面白い人。演出サイドでいうと、画面にいてくれるとありがたいんです。やはりカトリーヌ・ドヌーブとジュリエット・ビノシュがいると緊張感が高まるんですが、彼が間にいると緊張感がやわらぐんです。自分が何を求められているのか、計算せずにできる。イーサンがいると、安心して現場に入れた」と説明。さらに娘とクレープについて話しあうシーン、そしてレストランで子どもたちと遊んでいるシーンなど、劇中で思わず楽しくなってしまう箇所はすべてホークのアドリブだった事も明かし、「僕が彼に期待していたのもそういうところだし、とても上手でしたね。今回、役者との関係はうまくいったなと思いました」と続けた。
そんなホークだが、本作がワールドプレミアとなった今年8月開催のベネチア国際映画祭に参加していなかったことを踏まえ、「イーサンはどういう感想を?」という質問も。それには「ちょうどベネチア国際映画祭の時も彼を呼びたいと思っていたんですけど、実は今、彼はアメリカで脚本を書いて、(製作総指揮および)主演をしている連ドラ(『The Good Lord Bird(原題)』)の撮影中なんで、多分まだ映画を見てもらっていないんじゃないかと。いつか機会があったら(見てもらいたい)」と明かした。