「天気の子」インドプレミアはファン熱狂&号泣! 新海誠監督は“再訪”を誓う

2019年9月30日 13:00


インドプレミアに熱狂的ファンが集結!
インドプレミアに熱狂的ファンが集結!

[映画.com ニュース] 新海誠監督の最新作「天気の子」のインドプレミアが9月27日(現地時間)、ニューデリーのショッピングモールにある劇場「サケットセレクトシティウォークPVRcinema」で行われた。“映画大国”インドを初めて訪れ、舞台挨拶に登壇した新海監督を待ち受けていたのは、「shinkai! shinkai!」というコールを響き渡らせる熱狂的なファンたちだった。

7月19日の封切られた「天気の子」は、9月23日までに観客動員数982万6766人、興行収入130億7370万6100円を記録し、インドでは10月11日からムンバイ、デリーをはじめとする全国30都市で公開されることが決定している(配給会社Vkaao/興行会社:PVR Cinemas)。過去に同国で一般公開された日本映画は「万引き家族」「ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー」の2作のみ。日本のオリジナルアニメ映画としては、初の一般公開に。これは「天気の子」のインド公開を求め、5万人のファンが集ったインターネット上の署名活動に応える形で実現したもの。さらに、一般公開に合わせてインドプレミアを実施する日本映画は、「天気の子」が初の作品となった。

インド7都市で開催される「インド日本映画祭」の開幕も兼ねたプレミア当日は、全席招待、劇場内の複数スクリーンで合計約1000人が鑑賞。予約チケット200席に、半日で約2000人以上の応募が殺到。さらに、当日チケットにも長蛇の列ができ、400人以上が入手できずに諦めたという。舞台挨拶に立った新海監督は「皆さんの署名活動のおかげでインドに来ることが出来て、心から幸せです。本当にありがとう。インドという日本からとても離れた国で、文化も異なり、様々な価値観を持つ皆さんに、『天気の子』をどんなふうに楽しんでいただけるのか、心から楽しみにして来ました。皆さんの心の中に、少しでもこの映画が何かを残すことが出来たら、とても幸せに思います。どうか映画を楽しんでください」と語りかけていた。

上映中の様子
上映中の様子

本編上映中、手を叩きながら大声で笑い、隣席の友人と肩を組みながら泣き、腰を浮かし腕を高く上げ、大きな声援を送るインドの観客たち。新海監督は「インドの観客の熱量に、本当に驚きました。国民性のようなものかもしれませんが、インドの観客は、全力で『自分はとにかく楽しむんだ!』という非常に前のめりの姿勢で映画を見ているのが印象的でした」「映画を作っていて良かったと思わせてもらえるような瞬間を、インドでいただけたような気がします」とその光景が心に深く刻まれた様子。観客からは「我々の人生に永遠に影響を与え続け、心に残り続けるような映画」「(新海作品は)インドでのアニメの既成概念を打破する力があり、アニメそのものを新しいレベルに引き上げてくれました」という感想が飛び出した。

上映後には、Q&Aにも臨んだ新海監督。「日本のアニメーション映画の作り方と、ハリウッドのアニメーション映画の作り方は何が違うと思いますか?」という質問には「(日本は)“作家主義”。つまり、監督の作家性が映画の軸にあるのが日本のアニメーション映画だと思います。ハリウッドの方は、はるかに分業が進んでいるような気がします」と回答。「日本のアニメーション映画には子どもが多く描かれていますが、新海監督は何を意識していますか?」と問われると、「アニメーション映画を一番必要としているのが彼らの年代だからだと思います」と切り返した。そして「できれば3年後くらいにまたインドに帰って来て、皆さんに新しい映画を見せたいです。また再会しましょう!」と力強いコメントを残していた。

署名活動を始めた男子高校生 パンチョーリ君と対面
署名活動を始めた男子高校生 パンチョーリ君と対面

翌日、インド公開の署名活動を始めた男子高校生・パンチョーリ君と対面を果たした新海監督。感無量のパンチョーリ君に対して「署名活動をしてくれて本当にありがとう!」と感謝を伝え、いつか東京で再会し、自ら映画の舞台を案内することを約束した。やがて、パンチョーリ君が「『君の名は。』を見て、僕の人生は変わりました。もっと沢山の人に新海監督の作品を見て欲しくて、署名活動を始めました。新海監督が描く物語は、インド人にも馴染みやすく、世界の若者が誰でも共感できるのが魅力だと思います」と話すと、新海監督は「(インド公開は)ひとりの若者の署名から実現しました。これをきっかけに、アニメ―ション映画の形が少し変わるかもしれないし、日本の映画産業の形が少し変わるかもしれない。パンチョーリ君の熱意と行動力がまさに『世界の形を変えてしまう』ようで、心から凄いことだと思います」と思いの丈を述べていた。

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