【ホラー映画コラム】すごい顔!タイトル×キャラ×理不尽さ3拍子そろった「怪談新耳袋」の名作
2019年4月27日 20:00

Twitterのホラー界隈で知らぬ者はいない人間食べ食べカエル氏(@TABECHAUYO)によるホラー映画コラム「人間食べ食べカエル テラー小屋」が、映画.comに爆誕!! “人喰いツイッタラー”が、ホラー映画専門の動画配信サービス「OSOREZONE」の配信中のオススメ作品を厳選し、その見どころを語り尽くす!
テラー小屋第2回で「怪談新耳袋」について取り上げましたが、すみません、OSOREZONEで新耳袋の大好きなやつが新たに配信開始となりましたので、また書かせて頂きたいと思います。今回は、「怪談新耳袋 絶叫編 まえ すごい顔」です。
とある学校に伝わる怪談。その内容は、顔が塗りつぶされた女性の肖像画がどこかにあり、その顔の部分を削ると実際に女性が現れて襲い掛かってくるというもの。しかも、その顔は見ると死にたくなるくらいすごい顔らしい。女子高生の姫野やよい(山下リオ)と友人たちは、学校内で文化祭の準備を行う最中、噂に聞く顔の塗りつぶされた肖像画を発見してしまう。それが、想像を超える恐怖体験の始まりだった……。
まず、本編について触れる前に怪談話におけるタイトルについて書いておきたい。個人的には、怪談のタイトルは中身と同じくらい重要だと思っている。例えば怪談新耳袋のエピソードでは「3人来るよ」や「牛おんな」や「ふたりぼっち」などのような、言葉のインパクトが強く、シンプルなタイトル。これは一体どんな内容なのかと強く興味が惹かれ、実際に観る(あるいは読む)前からドキドキする。
そして、今回取り上げる作品「すごい顔」だが、これは満点。だってすごい顔ですよ。どんな顔なんだと。そんなにすごいのかと。ただただドストレートに「すごい顔」と題された作品が気にならないはずがない。この時点でもう、本作に惹かれてしまったというわけだ。
その中身はというと、ズバリ直視すると死んでしまうほど超すごい顔の霊が学校中を歩き回って、その顔を見た学生たちが全員「すごい顔……」と呟いて自殺する! 以上!!! これだけである。
捻りも何も一切ないシンプルな作品ではあるが、ホラー界でも最強の部類に入るであろう「すごい顔」の強烈なキャラクター性と、それを見た生徒たちの最期がとにかくインパクト絶大で、観終わった後の満足感はかなりのものだ。彼女の顔を見てしまったら死、あるのみ。
ある者は恐怖におびえながら、またある者は爆笑しながら、「すごい顔……」という言葉を残して自ら命を絶っていく。女子生徒たちが合唱の練習をする体育館にすごい顔が入っていって、歌声が次第に悲鳴に変わっていくところなんか怖すぎて少し鳥肌が立ってしまった。このような調子で学校には次第に犠牲者が増えていき、残された者は逃げ場を失っていく。この絶望感がたまらない。
また、すごい顔がどんな顔なのか、画面には一切映らないのも良い演出だったと思う。死ぬくらいすごい顔の全貌をこちらの想像力に委ねることで、観客それぞれの頭の中にオンリーワンのすごい顔が誕生するわけである。この作品はスーパーすごい顔生み出しマシーンとしての役割も担っているのだ。ちなみに私が想像したすごい顔は、顔面に目鼻口が一切なく、代わりに、読んだら気がおかしくなる祝詞が書かれているというやつです。
本作には更にもう一つ良い点がある。それは、すごい顔が結局何なのかについては一切触れないところだ。あくまで私個人の考えではあるが、本当に怖いのは、理屈が通じない、理解が遠く及ばない理不尽なものだと思っている。
怖い話なら、最後に全てが明らかになるものよりも、日常のふとした瞬間に全く意味不明な怪異に触れてしまい、それが何か全く分からないうちに終わる内容の方が遥かに怖いと感じる。怪異の正体が判明してしまうと、この理不尽さがどうしても弱くなって、恐怖が削がれてしまう場合が多い。
その点、本作のすごい顔は最後まで一体何なのかよく分からない。女の肖像画が実体化したものという事くらいしか劇中では描かれない。突然女が出てきていきなり顔を見せられて死ぬという理不尽さ。顔を見せる理由も分からないし、勿論すごい顔が誕生した経緯も一切不明である。この理不尽さが本作の恐怖を引き上げる大きな要因にもなっている。ただ、すごい顔の女が出てきた、という事だけを描いた潔さは高く評価したい。
理屈の通じない恐怖、観る者の想像に委ねる演出と、ホラーに求めるものがしっかりと入っており、個人的には怪談新耳袋シリーズの中でもお気に入りのエピソードだ。そろそろ暑くなってきたことだし(これを書いている時の外の気温26度くらい)、本作を観て体感気温を下げてみてはいかがだろうか。
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