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製作期間35年!フィリピンの鬼才キドラット・タヒミック「500年の航海」1月公開

2018年11月9日 12:00

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「500年の航海」ビジュアル
「500年の航海」ビジュアル
(C)Kidlat Tghimik

[映画.com ニュース]ラブ・ディアスブリランテ・メンドーサら、世界の注目を集めるフィリピンのインディペンデント映画界の鬼才キドラット・タヒミックが、35年の歳月をかけて完成させた大長編「500年の航海」が2019年1月下旬に公開される。

「世界周航」で知られるマゼランは旅の半ばで命を落とし、本当に世界一周を達成したのはマラッカ出身の奴隷エンリケだった……という筋書きで、タヒミックが自らの映画人生と、世界の歴史を重ね合わせた叙事詩的作品。さまざまなジャンルを横断し、ドキュメンタリーとフィクションが入り混じった手法で、西欧世界から押しつけられた歴史や思想を粉砕する。2015年にベルリン国際映画祭と東京国際映画祭(上映タイトル「お里帰り」)で上映され、第65回ベルリン国際映画祭カリガリ賞を受賞した。

タヒミックは、1977年のデビュー作「悪夢の香り」がベルリン国際映画祭批評家連盟賞したフランシス・F・コッポラが激賞したデビュー作「悪夢の香り」、3人の息子の成長を、モニュメント・ヴァレー、ドイツ、日本への旅、フィリピンの反独裁政権運動、ピナツボ火山爆発などフィリピン激動の時間とともに描いた「虹のアルバム」などを筆頭に、多くの映像作品を作り続けている。近年は「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「あいちトリエンナーレ」などのアートフェスティバルでも作品を発表し、美術界での評価も高まっている。

世界一周の途上、フィリピンのセブ島沖で先住民の首長ラプラプの抵抗によって命を落としたマゼラン。西欧による“第三世界”の隷属の歴史の象徴として、自ら奴隷エンリケを演じ、家族や友人たちをキャスティングし1980年頃から映像を撮り続けていた。その後、息子たちの成長に伴い撮影を中断していたが、撮影開始から20数年経った時、成長しヒゲを伸ばした次男カワヤンの姿がマゼランと重なり、マゼランが現代に蘇った輪廻転生の物語として映画が展開していく。

2019年1月下旬からシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。キドラット・タヒミック特集も同時開催される。

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