香川京子「東京物語」は小津安二郎監督より原節子との共演がうれしかった
2018年11月3日 18:30

[映画.com ニュース] 小津安二郎監督の名作7作品を4Kデジタル修復版で上映する企画「小津4K 巨匠が見つめた7つの家族」のアンコール上映を記念し、「東京物語」に出演した香川京子が11月3日、東京・角川シネマ有楽町でトークイベントを行った。
奇しくもこの日は1953年、「東京物語」が公開初日を迎えた日。香川は「今みたいな舞台挨拶は当時なかったと思います。ちょっとお辞儀するくらいだったと思います。小津さんとは初めてで、これが最後。今、考えても、世界的に評価された作品に出演できたのはありがたかった」と振り返った。
1949年、新聞社主催の「ニューフェイス・ノミネーション」に合格し、新東宝に入社した香川。小津監督とは1950年のデビュー前にも銀座の中華料理店でたまたま居合わせたこともあったそう。「『東京物語』の話があった時に大船にうかがったら、『あなたは笑いすぎる。いつも笑っている写真ばかり』と言われました。『笑って』と言われるから、笑うだけなのに、とも思いましたけども」と話す。
「東京物語」では、次女の小学校教師・京子役で出演。「小津さんよりも、当時は原節子さんに憧れていたので、嬉しかった。前に原さんの狛江にある自宅でお会いしたことはありましたが、映画では初めて。自宅のお庭ではセントバーナードを2頭飼っていらっしゃいました。原さんは、小津監督の作品では神秘的な印象を受けますけども、とても元気な方で、大きな口を開けて笑うんです。本当に太陽みたいに明るい方でした」と話した。

クランクイン直後の尾道ロケでは、滞在先の旅館で原さんと部屋が隣同士になったが、あまり話すことはなかったという。「広間でみなさんとご一緒になることもありましたが、私自身、あまりお酒は飲めない。20か21の頃だったので、みなさんのお話を聞くだけで、こちらから話をすることはなかったです」。また、父親役の笠智衆さんは実年齢49歳ながら見事な老け役を演じたが、「あまりお話しなかったんです。だから、ああいうおじいさんだと思いました。後で年齢を聞いて、驚いちゃいました」。
「東京物語」の撮影は不安と緊張の連続だったそうで、「とにかくついていくことに必死で、言われるままにやりました。小津監督は『僕はあまり社会に関心がないんだよね』と言っていて、内心不思議に思ったのですが、後で本を読むと、いろんないい言葉を残しているんです。『映画には社会性がないといけないと言われるが、人間を描けば、社会性が出てくる。僕が描いているのはもののあわれ』と言った内容で、そういうことをおっしゃっていたのか、と気づき、私も俳優としても人間を表現しないといけないと思いました」としみじみと語っていた。
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