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カザフスタンの新鋭監督、徹底した美意識のカメラワークは「小津監督を参考にした」

2018年10月29日 16:00

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エミール・バイガジン監督
エミール・バイガジン監督

[映画.com ニュース] 第31回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された「ザ・リバー」が10月29日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、来日したカザフスタンのエミール・バイガジン監督が会見した。

文明から隔絶された辺境の地で暮らす5人の兄弟の平穏な日々が、都会から来た少年の登場で崩れてゆく。シャープな構図と独特の世界観で綴る映像詩。

初長編監督作が、いきなりベルリン国際映画祭コンペティション部門で受賞を果たすという衝撃のデビューを飾ったバイガジン監督。細部にまで張り巡らされた美意識を感じさせる今作は、監督自身が撮影を担当した。「使ったレンズは1本だけです。これは小津(安二郎)監督の撮り方を参考にしています。しかし、カザフスタンの家はとても小さいので、1本のレンズで撮るのは難しかった」と明かし、「この撮影方法は、厳格主義を維持すること、人間の内面を反映するテーマを語ることにも役立った」と振り返った。

聖書の中のソロモン王の言葉「人間の心の中に見えるものは、深い水の中にあるもの」という一節から影響を受けたといい「奇跡を起こすことと精神的な進化をメインテーマにした。過去の2作も、本作も最後に登場人物を解放させたいという思いで作った」と作品のテーマを語った。

山岳地帯に住む家族のリアルな生活模様ではなく、美しく統制された動きと詩的な映像が特徴であることから、カザフスタン人記者から「カザフスタンの現実を描いているとは思えない。国内ではなく海外の観客に向けて製作しているのか」と質問を受けると「自分自身の可能性を制限することになるので、国内、海外と観客を分けて考えることはありません。作家主義のえ宇賀と商業映画を厳格に分ける必要もないと思いますし、私は商業映画の中にも素晴らしい作品を見出しています。あらゆる方向で自由でいたいのです」と持論を述べた。

第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。

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