志田未来「ヒロアカ」声優挑戦を支えた圧倒的“アニメ愛”
2018年8月5日 11:00
[映画.com ニュース] 「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載中の人気漫画を初めて劇場アニメ化した「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 2人の英雄(ヒーロー)」が、8月3日に封切られた。劇場版オリジナルキャラクターの少女メリッサを演じたのは、実力派女優の志田未来。熱心なアニメファンとして知られる志田にとって、声優業はプレッシャーであると同時に喜びでもある。控えめに、少し恥ずかしそうに「本当に出演できてうれしいの一言です」と話す姿から、“アニメ愛”がひしひしと伝わってきた。(取材・文・写真/編集部)
シリーズ初の劇場版となる今作は、原作者の堀越耕平氏を総監修・原作・キャラクター原案に迎え、テレビアニメ第2期の「期末試験編」と、第3期「林間合宿編」の間に起こった出来事をオリジナルストーリーとして紡ぐ。巨大人工都市「I・アイランド」で、鉄壁の警備システムが敵(ヴィラン)にハッキングされ、アイランド内の全ての人間が人質にとられる事件が発生。ヒーロー社会の構造を揺るがしかねない、「ある計画」へとつながっていく。
原作コミックスは累計発行部数1500万部を超え、テレビアニメシリーズは第3期が放送中。志田は、そんな人気作品のゲスト声優に抜てきされるも、当初は手放しで喜ぶことはできなかったという。「正直ものすごいプレッシャーがありました。ファンが多い作品なので、『ヒロアカの良さをうまく広げられるのか』という緊張と不安でいっぱいでした」。
志田といえば、アニメファンを公言しており、声優へのリスペクトも強い。これまでに「借りぐらしのアリエッティ」「風立ちぬ」「映画クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ」などの話題作で声優を務めてきたが、自身の“声の演技”には「まだ技術的なものがない」と満足していない。その難しさを、「やはり表情が映らないのが、実写とアニメの一番の違いだと思います。例えば“言葉にならない言葉”を伝える時。実写作品では表情で伝わるものが、アニメでは『えっ』という一言に対し、ものすごく感情をのせないと伝わらない。同じお芝居でも感情の込め方が違うと感じています」と説明する。
アフレコ前の自主練習も、アニメ好きならではの内容。「プロの声優の方と同じ土俵に立った時に声が浮いてしまうことが一番心配だったので、家でめちゃくちゃ練習しました。録画した他のアニメのセリフを紙に書き出して、音を消した状態で再生して、自分の声をあてて違和感がないか確認しました(笑)」。
アフレコは1人で行ったが、「他の皆さんの声が入った状態で収録したので、世界観がつかみやすかったです。お芝居しやすい環境を作っていただきました」と振り返る。「また収録では、音響監督が1シーン1シーン細かく指導してくださいました。『このシーンはものを探しているから、もう少し探している感じを出して』『もう少し上のものを取っている感じ』とか。映像が完成していなかったので、『今こういう表情だから』『眉毛はこういう風なのを想像して』と絵に書いてくださいました」。
意外にも、出演が決まってから原作コミックを読んだそうだが、すっかり“ヒロアカ熱”が高まっており「最初に読んだ時に、『轟くんがかっこいいな』と思ったので、今回絡めてうれしかったです! 轟くんと爆豪くんがお茶子さんを助けるシーンがあるのですが、そのシーンを見て『お茶子さん、うらやましい!』とも思いました(笑)」と話は尽きない。「悠木碧さんが演じている蛙吹梅雨ちゃんは、個性的でかわいいなと思います。個人的に緑色が大好きということもあって、絡みたかったです」と、共演がかなわなかったキャラクターにもラブコールを送っていた。
インタビュー中、「プレッシャー」という言葉を何度も口にしていたが、「声優業の醍醐味」を問うと、シンプルな答えが返ってきた。「ものすごく個人的な話ですが、アニメが好きなので、アニメ作品に出演することへの喜びが、他の方よりも大きいと思います。今回も、たくさんの方に『見てね』と言っている気がします(笑)」と照れくさそうに明かし、「こうしてアニメ作品に関われていることがちょっと自慢なんです」と目を輝かせる。“声優・志田未来”を支えているのは、あふれんばかりのアニメ愛だ。
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