裕木奈江が振り返る「ツイン・ピークス」新シリーズ
2018年7月4日 18:00
[映画.com ニュース] 鬼才デビッド・リンチ監督によるテレビシリーズ「ツイン・ピークス リミテッド・イベント・シリーズ」(テレビ放送時の邦題は「ツイン・ピークス The Return」。ブルーレイ&DVD発売中)に、重要な役どころで出演した日本人女優・裕木奈江がインタビューに応じ、撮影を振り返った。
1990年のオリジナルシリーズをリアルタイムで見ていたという裕木は、新シリーズへのオファーに際して「やったー! 『ツイン・ピークス』に出られるぞ! すごい!」と感じたという。しかし、裕木が演じるナイドは、異世界に存在し、目を塞がれているキャラクター。オリジナル版のキャストがそろう現場に足を踏み入れても彼らの姿は見られず、「メイクで目を塞がれているので、とにかく見たかったですね。90年代のオリジナルキャストがみんないる、そこにアンディ(ハリー・ゴアス)とルーシー(キミー・ロバートソン)がいて、私へのセリフをしゃべっているんだから、しっかり目に焼き付けたかった……」と残念がる。
最も共演シーンが多かったのは、「カイル(・マクラクラン)さんですね」。「すごく紳士。私は7センチぐらいのピンヒールを履いていて、しかも何も見えない状態で(セットを)登ったり降りたりしなくてはならず結構怖かったのですが、降りた後、壁伝いでスタートの位置に戻る時もかなり怖くて。もちろん、いつも誰かがついていてくれるのですが、ある日、気がついたら、それカイルさんだったんですよ。『え、カイルさん? ありがとう!』と。そのとき、カイルさんが私の手を取って連れて行ってくれた写真をスタッフさんが送ってくれて、すごく感動しました」と明かすが、「それも見えない(笑)。せっかくカイルさんにエスコートしてもらっているのに」と笑う。
マクラクランの印象を問われると、「10代のころ、彼をドラマで見ていて、あの顔立ちや骨格って日本人にはないじゃないですか。鼻の高さやあごの形が、絵に出てくるような三日月だなって思ってたんです。だからあのあごはどうなってるんだろう?って、よくイラストにして描いてました(笑)」と90年代の思い出を語りつつ、「ナイドは目が見えないので、彼の顔をベタベタ触るシーンがあるんですよね。ナイドがクーパー(マクラクラン)に対して『私がこの世で一番愛してる! あなたを守りたい!』って気持ちを込めて触るシーンなんですけど、心の中では『わぁ! あのあごだ!』と思いながら触っていました(笑)」という返事。「ぜひ見返してみてください」と語った。
日本の「ツイン・ピークス」ファンへは、「やはり、ぜひぜひコーヒーとドーナツとチェリーパイを用意してイッキ見してください!」とアピール。「カフェインと砂糖でアドレナリンと眠気でフラフラになりながら、ちょうど第8章を見て、『なんなんだこの第8章は!?』と驚きながら、『ここからまだ10話ある、そこから自分は今何を見ているんだ?』と延々と思いながら第17章まで見て、それから第18章を見ると、『この第18章は何だったんだ?』と(笑)。誰とも共有できない感覚を、ひとりで体験する」と続け、「ドーナツ屋さんに行って、クリスピークリームと各種ドーナツを買って、コーヒーも種類をそろえて準備万端用意して家から出ない。私だったらね(笑)」と「裕木奈江」流の楽しみ方を提案した。
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