井浦新＆成田凌　役柄さながらの共同生活で生まれたヒリヒリした“兄弟感”

2018年3月16日 16:30

［映画.com ニュース］音楽、映像など他方面で活躍するアーティストのかなた狼の初監督作で、井浦新主演の映画「ニワトリ★スター」が3月17日公開される。大麻の密売で生計を立てる男性ふたりの一風変わった共同生活や友情を描いたバイオレンスファンタジーだ。主人公の草太役を演じる井浦と、同居人の楽人に扮する成田凌が、独自の世界観を作り上げるために、撮影前から実際に同居しながら役作りに挑んだ。役者として初共演となるふたりが、互いについて語った。

--おふたり共にモデル出身です。映画で初共演でのお互いの印象を教えてください。

井浦「僕も、凌と一緒で、昔『メンズノンノ』という雑誌でお世話になっていましたが、モデルで活躍してる凌の姿は見たことなくて。撮影当時は凌の映像作品もそれほどなかったので、僕の中では真っさらな青年一人で、何のイメージもなかった。だから、凌が楽人へと変わっていくのが自分の中に自然に入ってきました。本人が想像しながら楽人を作っていこうとしているのもあると思いますし、監督が力技で凌の中にある楽人の要素をぐいぐい引き出すんです。凌はそういうものすべてを栄養にしていましたね」

成田「僕は苦痛でしょうがなかった（笑）。監督は細かい部分まで、すごく出してこようとするので、それは嫌ですよ。拒否反応出ますけど、しょうがないです。この作品に絶対出たかったので。『うわーやだ、きついー』と思いながら『余裕っス、大丈夫です』とか言ってましたね」

「新さんは昔から知っているし、世間が見るのと同じように、優しくてかっこいいんです。クールな感じで、想像より当たり前の様に優しくて、当たり前のように深くて、何を聞いても120～200パーセントくらい返ってくるんです。だから、日々質問攻めしていました。何かを求めようとしたときに、本気で求めることが当たり前で、すごく底なしだと思いました。どこまでも深い人でした」

--劇中では、まるで兄弟のように息の合った演技を見せていらっしゃいます。撮影前に同居生活をされたそうですね。

井浦「監督が、凌のことを『面白いやつがいてな。楽人の役は僕のためにあるって言ってきたやつがいるんだよ』って言っていたんです。それを聞いて、これからふたりでとんでもない作品に挑むのだから、僕は先輩としてどこかでその鼻っ柱をへし折らなければいけないと思ったんです。でも、東京でふたりでエチュードをやったり、なかなか普段やらないことをやって、10日間大阪暮らしをして、彼が生意気な言葉と間逆な心を持っているから、そういうことを口に出してしまうってわかったんです。自信がないから、ついそういうことを言ってしまう人間には愛おしさがある。だから、とにかく僕も本当にふたりの役をふたりで作っていくことに集中できました」

成田「10日間新さんと一緒に暮らしていた日々では、自分を楽人としていさせてくれました。散歩しよう、とか誘ってくれたり、いろいろなじませてくれようとしてるなって。1回キレられたこともありましたけど（笑）。実際草太って呼んだり、兄ちゃんって、呼んだりして、次第に距離がなくなっていきました。実際の兄弟とはちょっと違って、兄弟分って言う言葉には収まる気がするんですけれど。言葉にはしたくないくらいもったいないような愛があります」

--撮影から1年経ち、井浦さんのように、他の映像作品でも成田さんが活躍する姿が確認できますね。今作はおふたりにとってどのような作品になりましたか。

井浦「今の凌は輝いてますよね。それが芝居に生きている人間性だと思うんですけど、凌はどこか危うさがあるんです。そこが魅力。この作品で一緒に芝居を経て、その後一気に駆け上がっていったのは、凌が潜在的に持っていた力だと思いますし。まだまだ一歩踏み出したに過ぎないわけですから、キャリア的にも楽しみで仕方ないですね。この作品は、凌にとっても、自分にとっても、作品への挑戦の仕方だったり、向き合い方だったり、それぞれの間があるけど、見事に最終地点はお互いに特別なものになったと思います」

「ニワトリ★スター」は、3月17日から東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、3月24日から大阪のシネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋ほか全国順次公開。