ポーランドの美少女人魚ホラーファンタジー「ゆれる人魚」監督が初来日で驚いたこととは?
2018年2月9日 16:30
[映画.com ニュース]共産主義下にあった1980年代のポーランドを舞台に、肉食人魚姉妹の少女から大人への成長物語をポップかつダークな映像で描いたホラーファンタジー「ゆれる人魚」が、2月10日公開する。本作が長編デビュー作となるアグニェシュカ・スモチンスカ監督が来日し、作品を語った。
海から陸へとあがってきた人魚の姉妹がたどりついた先はワルシャワの80年代風ナイトクラブ。野性的な魅力を放つ美少女の2人は一夜にしてスターとなるが、姉妹の1人がハンサムなミュージシャンに恋をしたことから、姉妹の関係がおかしくなっていく。
「クシシュトフ・キエシロフスキーや心理ドラマのような、人の気持ちを掘り下げるようなタイプの作品にそもそも惹かれていました。まさかジャンル要素のある映画をつくるとは夢にも思っていませんでした」と明かすが、今作はサンダンスをはじめ各国の映画祭で高く評価された。
主人公の人魚姉妹は、本作の音楽を担当したポーランドのインディ音楽シーンで有名なヴロンスキ姉妹がモデルだ。「もともとは私やスタッフが子供時代に経験した80年代ワルシャワのナイトクラブシーンを描く姉妹の伝記のような作品を考えていましたが、脚本家のアイディアで人魚の物語になりました。そこで、私がイメージした人魚は、半分は人に害を与え、半分は人間の姿というクリーチャーだったのです」
人魚姉妹は上半身裸で過ごし、エロティックかつグロテスクな表現も見られる。「配給サイドには、セックスシーンは大丈夫だけれど、残虐なシーンはカットするように言われましたが拒否しました。この作品が特別なのは、ホラーと恋、醜さ、歌の歌詞、そしてリアリズムが一つになっているから。また、少女と大人の狭間にいる女性が主人公なので、大人の女になる前の肉体を持つ女優を求めました。そこで大切だったのは、裸の人魚たちがどのように振舞うか。ポルノにしないこと、裸でいることに対して意識をしない、動物のような感覚であることを大切にしました」
今回の初来日で、多くの発見があったとうれしそうに語る一方で、驚いたこともあったそう。「ファンタスティックで楽しい経験になりました。ジブリ美術館に行ったり、多くのコスプレイヤーを見ました。若者が性別を超えたような振る舞いをすることにも驚きました。違和感を感じたのは、広告などでの若い女性の扱われ方、描き方。ロリータを意識したような奇妙な感じを受けます。私もこの映画で、社会に利用されている少女性のようなものも見せたかったのですが、純粋な扱いをしたので受け入れられました。このようにヨーロッパでも少女性を描く作品はありますが、性的にフェティッシュなものとして描いたりはしないので、日本の街で見た表現にはショックを受けました」
アンジェイ・ワイダ監督をはじめ、数多くの才能を輩出しているポーランド映画界。近年では若手女性監督の作品も注目されるようになった。「ポーランド映画の女性の巨匠はアグニエシュカ・ホランドですね。以前に比べ女性監督は増えましたが、まだまだ男性と同じほどはいません。♯meetooムーブメントが起き、ポーランド映画界の女性たちも一致団結しようという動きはあります。これまでより女性が活躍できればいいと思うし、待遇面などの状況もよくなればと思います」
「ゆれる人魚」が、2月10日新宿シネマカリテほか全国順次公開。
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