大自然と遊牧民 中央アジアの美しき国キルギスの文化を堪能できる映画「馬を放つ」
2017年12月28日 06:00

[映画.com ニュース]「あの娘と自転車に乗って」「明りを灯す人」などで国際的に高く評価されるキルギスの名匠アクタン・アリム・クバト監督がメガホンをとって自ら主演した映画「馬を放つ」が3月17日公開する。中央アジアで“シルクロード”の要所として発展し、1991年にソ連から独立した国だが、日本人にはあまりなじみのない土地でもある。本作で映し出される、美しい大自然や文化などキルギスの魅力を紹介する。

映画は、キルギスの首都ビシュケクから約300キロメートル離れた村トゥラスで撮影された。撮影地のすぐ近くには、キルギスで最も大きな湖のイシク・クル湖があり、平均5000メートル級の山々が連なる天山山脈の山間に隠された「幻の湖」と呼ばれる。そうした風絶景がある一方で、首都のビシュケクは、東京の様に都市化が進んでおり、都市と自然が隣り合わせにあるという両極端な風景が楽しめる。

かつて遊牧生活を営んでいたキルギスの人々は季節ごとに移動し、馬と共に、自然の恵みを受けながら生活していた。その文化はまだ色濃く残っており、クバト監督も「14歳には自分の馬を持って駆けていた」と語る。また特に遊牧文化が色濃く反映されているのが、「馬上のラグビー」とも評される伝統的な騎馬競技“コク・ボル”で、大会では国民が熱狂する。映画の中では、馬が大地を自由に駆け、数多くの馬が川を渡るシーンが圧巻だ。

映画の主人公ケンタウロスはキルギス人のシンボルとして愛されている「アック・カルパック」という伝統的な帽子を被り、女性や子供は美しい民族衣装を着ている。また、日本人ではモンゴルのゲルという呼び名でも知られる、遊牧民族ならではの組み立て移動式住居ユルタも登場。和睦と団結の象徴としてキルギス国旗にも描かれている住居だ。映画ではユルタ内で、主人公がシャーマンの女性に相談する場面もあり、民間信仰もいまだに浸透している。

映画は、熱い信念を秘めた純粋な男の姿を通し、文化的アイデンティティーが失われつつある現代社会に静かな問いを投げかけたドラマ。村人たちからケンタウロスと呼ばれる寡黙な男は、妻と息子と3人で慎ましい生活を送っている。騎馬遊牧民を先祖に持つキルギスに古くから伝わる伝説を信じる彼は、人々を結びつけてきた信仰が薄れつつあることを感じ、夜な夜な馬を盗んでは野に解き放っていた。ある日、馬を盗まれた権力者が、犯人を捕まえるべく罠を仕掛けるが……。
「馬を放つ」は、3月17日から岩波ホールほか全国順次公開。
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