エリック・オン監督「私のヒーローたち」に込めた思い「マレーシアの真実伝えたかった」
2017年10月29日 23:00

[映画.com ニュース] 第30回東京国際映画祭の国際交流基金アジアセンターによる「CROSSCUT ASIA ネクスト!東南アジア」部門で、マレーシアの「私のヒーローたち」が10月29日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映された。
地方の学校に赴任した教師が、貧困や家族の問題を抱える生徒たちに英語での合唱コンクールを目指す目標を持たせることできずなを深めていく、実話に基づく物語。エリック・オン監督、エグゼクティブプロデューサーで脚本も手掛けたジェイソン・チョン、主演女優のサンギータ・クリシュナサミーが上映後にティーチインを行った。
出演している子どもたちはほぼ演技経験がなく、ワン監督は「撮影の前に4日間の集中講義をして、それこそADの仕事は何か、カメラのアングルとはどういうことかということを教えていった」と説明。だが、脚本を渡した際に「僕はこんな話し方をしない」、「私はこんな性格じゃない」といった“反発”があったことを苦笑しながら明かした。
クリシュナサミーもそのワークショップに合流し、「かなりのチャレンジになることは覚悟していたけれど、大変な人生を歩みながら学校に通っている子が多く、あまりに人生経験が豊富なので、自由とは何かといった大人と1対1で話せる子ばかりだった。私の方が励まされた」と述懐。首都のクアラルンプール出身で、「地方と都会には教育において格差があるという、自分の国のことを知ることができた」としみじみ話した。
2015年に事実を知り、翌16年から映画化に着手したというチョンも、「子どもたちは皆、素晴らしいキャラクターの持ち主だった。サクセスストーリーをそのまま体験しただけで、僕らは子どもたちの力を借りてガイドしたようなもの」と解説。日本でも今年春に公開され話題となった同国の映画「タレンタイム 優しい歌」に通じるものがあるという指摘もあったが、ワン監督は「自分で比較したことは1度もない。マレーシアの教育は、私が学生だった80年代と大きく変わっていない。大変な思いをして学校に通っている子がいるという真実を伝えたい思いが強くあった」と、クリシュナサミーの思いを補完するように言葉に力を込めていた。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催される。
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