ジャーナリスト小西未来氏、“進化したミュージカル映画”「ラ・ラ・ランド」を語る
2017年10月28日 11:00

[映画.com ニュース] 第30回東京国際映画祭の特別企画「トリビュート・トゥ・ミュージカル supported by スターチャンネル」に選出された「ラ・ラ・ランド」の上映を記念し10月27日、ハリウッド外国人記者協会(HFPA)所属のフィルムメーカー兼映画ジャーナリストの小西未来氏が、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズでトークイベントを行った。
映画は、米ロサンゼルスで成功する夢を持つ恋人たちの姿を描いたミュージカル。女優になることを夢見るミアと、ジャズピアニストを目指すセバスチャンは、衝突しながらも恋に落ち、互いの夢を応援し合う。しかし、セバスチャンが生活のために加入したバンドが成功を収めたことで、2人はすれ違い始める。
第89回アカデミー賞では監督賞、主演女優賞、作曲賞、主題歌賞、撮影賞、美術賞の最多6部門を戴冠し、ミュージカル映画の復活を告げる作品となった。現在32歳のチャゼル監督は、ノーマン・タウログ監督(1931年、第4回)の最年少監督賞受賞記録を86年ぶりに塗り替える快挙を成し遂げたが、作品賞は「ムーンライト」に贈られ受賞を逃す結果に。小西氏は「賞をあげなきゃおかしい」と異を唱え、「ずっと(賞レースの)トップランナーだったので、ケチをつける人が出てきたり、嫉妬が出てきたり。前年のアカデミー賞の俳優部門は、ノミネートされたのが白人しかおらず“白すぎるオスカー”と批判されていた。そんな配慮が働いたじゃないかと思います」と語った。
今作を大絶賛する小西氏だが、「実はミュージカル映画が苦手」だという。「すごさは分かるんだけど、当時の人たちのようには感動できないところがある。テンポが遅いし、劇部分からミュージカル部分への展開がいきなりすぎてついていけない」と理由を明かすが、「ラ・ラ・ランド」はその点が進化していると分析。「ミュージカル部分も編集点がないように見せていて、飽きさせない。最新の撮影技術で目まぐるしく動く。劇から歌にいくところが、セリフを言っていていつの間にか感情が高まって歌になっちゃうというように段階を踏んでいて、今の観客に合わせたアレンジがされている」と力説した。
また、現在ロサンゼルス在住の小西氏は、「タイトルの『ラ・ラ・ランド』はあまりいい言葉ではないんです。夢見がちな、現実をきちんと捉えられない愚かな奴みたいな意味で使われることがある。同時にロサンゼルスの別称でもあって、現実と向き合えない人たちが暮らしているダメな街みたいなニュアンスがある」と解説。「でもそれを、それこそが素晴らしい、大変だけど良いことなんだと肯定しているのは新しいなと思いました」と、チャゼル監督の街に対する敬愛の心を称えていた。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
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