インドネシア気鋭の監督が長編デビュー作「他者の言葉の物語」について語る
2017年10月27日 14:15

[映画.com ニュース] 第30回東京国際映画祭のクロスカットアジア部門出品作「他者の言葉の物語」が10月26日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで上映され、BW・プルバ・ヌガラ監督とスリばあさんの孫プラプト役の俳優ルクマン・ロサディが、ティーチインに臨んだ。
生き別れた夫の墓を探す旅に出た、95歳のスリばあさんの旅路を描いた本作。この旅路を通じて、対オランダ独立戦争で戦った夫の姿が明確になるが、果たして夫は英雄だったのか、それとも裏切り者だったのか。長編監督デビューを果たしたプルバ・ヌガラ監督は、本作でインドネシア現代史の読み直しを図っている。
観客の前に立ったヌガラ監督は、「本日は私たちの映画を見ていただいて、光栄です。映画の製作チームの友人たちと日本に来ることができてうれしく思います」と挨拶。ロサディも「東京に着いて、これまでこの映画を作った製作の道のりについて思いをはせました。そして東京とインドネシアとの色彩の違いについて考えました。東京という街は整頓されて、とてもきれいな街。街路樹もきれいに整っています。でもわたしたちの映画の中に出てくる風景は整っていなくて、ざわついているような風景だったと思います。そこから孤独やさみしさを見ることができるんじゃないかと思っています」と続けた。
見る者に強い印象を残す、主人公のスリばあさんを演じるのはポンチョ・スティイェム。職業俳優ではなく、オランダ占領時代を知る農業従事者ではあるが、ASEAN映画祭などでもそのリアリティーが高く評価された。ヌガラ監督は、抜てき理由を「確かに彼女は演技の経験はありません。でもカメラの前で演じてもらって、彼女のポテンシャルの高さを感じましたし、映画のキャラクターのユニークさを感じてもらうには最高の人選だったと思います」と説明した。
本作ではインドネシアの国語であるインドネシア語は一部の人物が使うだけで、ほとんどは、かつてオランダ領東インドで最大人口を誇ったジャワ人の言語となるジャワ語が使われている。そのことについて観客から指摘されたヌガラ監督は「もし舞台がジャカルタならインドネシア語になりますけど、この映画でジャワ語になったのは真実の映画を作りたかったからです。この物語をつむぐとしたらジャワ語で作るしかないですからね。もしこれを日本を舞台にして作るのならば日本語で作りますし、つまりはそれが答えなんです。この映画はインディペンデント映画なんですが、製作サイドからは、言葉に関しては好きに作っていいよと言われました。自主制作の映画ではありますけど、最終的には大手の映画館でかけることもできましたし、商業的には損はしていないんですよ」と返答した。
第30回東京国際映画祭は、11月3日まで開催中。
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