小さなウソと優しさが狂気に変わる……「まともな男」11月公開
2017年9月15日 12:00
[映画.com ニュース] 2016年のスイス映画賞最優秀脚本賞を受賞した問題作「Nichts Passiert(原題)」が、「まともな男」の邦題で11月に公開されることが決定した。あわせて、タイトルとは正反対の放心状態で虚空を見つめる主人公を収めたポスター画像と、予告編がお披露目された。
映画は、中年男の小さなウソが思わぬ事態を引き起こしてしまうさまを描いた。原題の「Nichts Passiert」は、ドイツ語で「何も起こっていない」という意味。主人公トーマスはどこにでもいるいたって普通の“まともな男”だが、そのことなかれ主義や偽善的な行動がすべて裏目に出ていく。「Der Freund(原題)」(2008・日本未公開)でスイス映画賞最優秀長編映画賞を受賞したドイツ人監督のミヒャ・レビンスキーが、監督と脚本を兼ねた。
会社員のトーマスは、長く倦怠期が続いている妻と反抗期の娘、さらには上司の娘・ザラを連れてスキー旅行に出かける。初日の夜にザラが行方不明になり、トーマスが街角で発見した際に「レイプされた」と告白される。警察に相談するよう提案するも、ザラは拒否。その気持ちを尊重して、どうにか事を丸く収めたいトーマスは、ウソを重ねていくが、事態はますます悪い方向へ進んでゆく。
予告編は、トーマスがはにかみながら「僕はいたって普通のまともな……人間さ」と語るシーンからスタート。軽快な音楽とともに、平和な家族旅行が描かれるが、娘とザラが同年代の男の子たちからパーティに誘われたことで事態は一変する。ザラのレイプ被害が発覚してからは、周囲にウソをつき、妻との関係も悪化。レイプ犯と思われる男の子が謝罪に訪れても「余計なことするな」と拒否する始末で、小さなウソや優しさがやがて狂気を帯びていくさまが映し出される。
「まともな男」は、11月18日から東京・K's cinemaほか全国で公開。