来日した「新感染」ヨン・サンホ監督「全ゾンビ映画の作り手はロメロ監督に借りがある」

2017年8月18日 15:00

映画ジャーナリストの 宇野維正氏(写真左)と共に
映画ジャーナリストの 宇野維正氏(写真左)と共に

[映画.com ニュース] 韓国で観客動員1100万人を突破し、ハリウッドリメイクも決定したサバイバルアクション「新感染 ファイナル・エクスプレス」のメガホンをとったヨン・サンホ監督が来日し8月17日、都内で行われたトークイベントに出席。映画ジャーナリストの宇野維正氏とトークを繰り広げた。

韓国国内で、謎の感染爆発が発生。凶暴化した感染者の1人がソウル発プサン行きの高速鉄道「KTX」の車内に乗り込んだことから、1人また1人と感染者が増大し、車内は地獄絵図と化していく。そんななか、妻のもとへ向かう夫と幼い娘、出産間近の夫妻、高校生カップルといった乗客たちは、時速300キロで走行する密室の中で決死の戦いに身を投じる。米映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で95%(8月17日時点)の高評価を記録した。

本作が初の実写映画監督作となるヨン監督は、アニメ映画の監督として名をはせた人物。「今敏監督の初期のリアリズムあふれる作品が大好き」と自身のルーツを語り「本作のおかげで、私が過去に手がけたアニメ作品も日本で続々と公開が決まり、うれしいです」と顔をほころばせた。本作は、世界156カ国から買い付けオファーが届くなど激賞されており、監督の海外進出も期待されるが「海外で撮ることに対しては、常にオープン。でも、どの国で撮るかよりも重要なのは、自分が完璧にかかわることのできる条件かどうかです」と地に足の着いた意見を述べた。

本作では高速鉄道の車内のみならず、駅や線路上でも大規模なスペクタクルシーンが展開するが、ヨン監督は「駅のシーンは本当に苦労しました」と振り返る。「実際の電車では高圧電流が流れており、機材を抱えたままの撮影は危険なため、撮影はできませんでした。閑静な田舎の駅で撮影し、そこにCGをかぶせています」と舞台裏を明かした。

イベントでは、ヨン監督が先日世を去った故ジョージ・A・ロメロ監督への思いを明かすひとコマも。「ジャンルを作った創始者で、すべてのゾンビ映画の作り手たちは彼に借りがある。自分がもし、彼より先にゾンビ映画を撮っていたら著作権を登録して自分だけが撮られるようにしていたでしょうが、彼は権利を開放してくれた。また、ゾンビの起源を未知のものにしてくれたため、のちに作る人たちが想像力を発揮できる余地が残った。映画史的に大きな遺産だと思います」と感謝を述べていた。

新感染 ファイナル・エクスプレス」は、9月1日から全国公開。

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