【パリ発コラム】世代の差を越えた名コンビ アニエス・バルダ&アーティストJRの共同監督作品に注目
2017年8月6日 12:00

[映画.com ニュース]現在89歳のアニエス・バルダが写真家JRと共同監督を務めたロードムービー風のドキュメンタリー、「Visages Villages(原題)」がフランスで公開になり、高い評価を受けている。今年のカンヌ映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門で披露され、各国の配給会社の買い付けがヒートアップして話題になっていた作品だ(日本ではアップリンク配給で2018年公開予定)。
ヌーベルバーグを代表する女性監督であり(本人は自身を“ヌーベルバーグの化石”と茶目っ気たっぷりに語る)、ベネチア映画祭で金獅子に輝いた「冬の旅」やドキュメンタリー「落穂拾い」など、社会的なテーマの作品も手掛けるバルダは、ちょうどこの夏、亡き夫ジャック・ドゥミの作品とカップリングのレトロスペクィブが日本で開催されている(http://www.zaziefilms.com/index_2.html)。
一方JRは映画界でまだあまり馴染みがないかもしれないが、現代アートの世界ではすでに知られた存在。7月に始まった東北復興を支援する新しいアートフェス「Reborn Art Festival」に参加しているので、ご存知の方もいるだろう。ちなみにこのフェスで彼が手掛ける「インサイドアウト・プロジェクト」で使用している撮影機材つきのトラックこそ、本作のなかでバルダとJRが乗って各地を旅した車だ。彼はこれまでじつに世界129カ国を訪れ、26万人に及ぶ人々を写真に収めてきた。また偉人が眠るパリのパンテオンの内部を写真で埋め尽くし、イスラエルとパレスチナのあいだの分離壁を写真で飾ったことでもニュースになっている。
そんなふたりがトラックに乗って、冗談を言い合いながらフランスの田舎を旅して回った。といってもそこは彼らゆえ、ただ気ままに美しい田舎の風景を紹介しているわけではない。各地で地元の人々と交流をし、JRが写真を撮ってインスタレーションをしつつ、たとえば忘れ去られた炭坑夫の歴史を紐解き日陰の労働者にスポットを当てたり、生産量を上げるためにお互いが狭い場所で傷つけあわないよう羊の角を切るやり方に意義を唱える酪農家を訪れたりと、声高ではないながらそこには社会的なメッセージが込められている。
その一方で、かつてバルダの友人でもあった写真家ギイ・ブルダンの思い出など、私的な逸話も含まれている。驚くのは、映画のクライマックスに用意されている(現在の)ジャン=リュック・ゴダールとのエピソード。詳細は観客のサプライズにとっておくとしても、ゴダールに対するイメージがこれで決定づけられるのではないか、と思われるようなシーンだ。そしてこのときに思わず見せるバルダの表情が、なんと印象的なことか。
全体的に偶然の出会いの集積のようでありながら、じつは緻密に構成されているところもみごと。また旅を続けるうちに、55歳年の離れたこのコンビが尊敬と慎ましさを保ちつつ絆を深めていくさまは、心を打つものがある。世代の差を超えてこういう微笑ましいコンビが自然体で存在するところも、いかにもフランス的かもしれないと思わせられた。(佐藤久理子)
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

「鬼滅の刃」無限城編&超人気アニメ映画が【500円】で観られる!
【絶対にこの記事を読んでから観て】確実に損しないオトク情報
提供:KDDI

売春婦殺人事件、深刻な麻薬汚染…
遺体発見。妹でないことに、少しだけ安堵した。【現代の闇を描く、注目の衝撃作】
提供:BS10スターチャンネル

絶対に開かないでください。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい
提供:ワーナー・ブラザース映画

雪風 YUKIKAZE
【観て、心から本当によかった】「コード・ブルー」「海猿」に涙した人にもオススメしたい新たな傑作
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、バンダイナムコフィルムワークス

なんだこのとんでもない映画は!?
【観ないのは映画人生の損失?】狂気的なクオリティでぶち抜く“常識外れの超高評価作”
提供:東映

入国審査
【これめっちゃ面白かった】この2人、空港の入国審査で何時間も尋問される…一体なぜ? 衝撃の結末へ
提供:松竹

またピクサーが大傑作つくったんですか…
【ボロボロ泣く感動超大作】両親を失った少年の、再生の物語。そのままの君が好きだよ。
提供:ディズニー

映画界を変える“究極の推し活”がある!
【革命的すぎてヤバい】大好きな俳優と映画を“まさかの方法”でとことん応援できる!!
提供:フィリップ証券

ジュラシック・ワールド 復活の大地
【超絶パワーアップ】観てきたけど…マジ最高!! 究極のスリル、圧倒的な感動、全瞬間が限界突破!!
提供:東宝東和