建築家の社会的役割とは? 坂茂氏、「だれも知らない建築のはなし」石山友美監督と対談
2017年7月22日 10:00

[映画.com ニュース] 世界的な建築家たちのインタビューからなるドキュメンタリー「だれも知らない建築のはなし」のDVD発売記念イベントが7月21日、銀座蔦屋書店であり、石山友美監督が聞き手を務め、建築家の坂茂氏が「建築家の社会的役割」をテーマに語った。
高度経済成長期から現在まで、日本の建築家たちがどのように社会と関わり合いながら、何を作り出してきたのか。映画では磯崎新、伊東豊雄、安藤忠雄、レム・コールハースらの言葉で現代建築史を追う。
アメリカの大学を卒業後、磯崎氏のアトリエに勤務した坂氏。1982年の国際会議「P3会議」に伊東氏、安藤氏という当時無名だった若手のふたりを抜てきした磯崎氏を「世界のことを考えて、能力だけを見て仕事を与える」人だと評し、「(建築の)スタイルの影響は受けていないが、世界の人と国際コンペを闘っていくスタンスを学んだ」と振り返る。映画で取り上げられている、バブル期に乱立したポストモダン建築の話題に及ぶと「危険な罠だったと思う。アルド・ロッシやジェームス・スターリングなど抜けられずに終わってしまった人も多い。丹下健三さんもその一人。唯一ポストモダンをやって沈まなかったのは、ゲームとしてコントロールできていた磯崎さんだけ」と述懐した。

1994年に、ルワンダの難民キャンプのために、紙を用いた仮設住宅の建設を国連難民高等弁務官事務所に提案し、1つあたりわずか50ドル程度の予算で現地の木々を伐採せずに設営できるシェルターを作った。災害支援活動団体を設立し、多大な功績を残している。阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など国内および世界各国で起きた災害被災地へ赴き、学生らの協力を仰ぎ、安価な紙管などのほかビールケースなど現地で手に入る材料を調達して仮設住宅を作ってきた。「住みやすさや材料の使いやすさを考えることで、自分の作品作りと災害支援が一致してきた」と話す。
また、各地の被災地で紙管を使って作った教会や集会所に、今なお人々が集っているというエピソードを挙げ「コンクリートで作られた赤坂プリンスホテルは30年で取り壊されてしまった。金もうけのための商業施設は仮設だとも言える。建築は人に愛されるか否かでパーマネントか仮設かが決まると思う」と持論を述べた。
日本を代表する国際的な建築家として活躍し、近年ではフランスのロレーヌ地方のメスのポンピドゥ・センター分館を設計。デベロッパーの仕事はできるだけ受けないようにしているという一方で、個人住宅の設計は現在も手掛ける。「自分自身のアイディアを試すトレーニングだと思っている。いろんな建築家の人生を見つめて、自分をどう育てるべきか考えて活動している」と自身のスタンスを語った。また、この日は、世間を騒がせている新国立競技場の問題、世界的流行になっている木造建築と日本の技術の遅れ、フランスのゼネコンと建築家の対立関係など多岐にわたる話題が繰り広げられた。
DVD「だれも知らない建築のはなし」(4800円税抜き)は発売中。
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