ジャック・ドワイヨン監督、「ロダン」を来日撮影していた「すばらしい美に近づくことが幸せ」
2017年6月8日 10:00
[映画.com ニュース]名匠ジャック・ドワイヨン監督の最新作で、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」。映画完成直前の今年2月にドワイヨン監督が来日し、箱根の森彫刻美術館のロダンの作品を撮影していたことがわかった。6月22日からの「フランス映画祭2017」での再来日を前に、ドワイヨン監督がコメントを寄せた。
今回、ロダンの代表作バルザック像を劇中で扱った。「バルザック像は外気、呼吸をすること、大地が必要だったのです。箱根の森彫刻美術館は野外美術館なので、バルザックは自由です。ムーアやモディリアーニなど、次の世代の彫刻作品の中心でこの像を見ることができます。これはとても興味深い。ロダンは人々の進化を助けたのです。情感的な人間だったことは彼の彫刻を見たり、彼の人生を学ぶと分かります。私の映画はその部分も語っています」
初めて訪れた箱根の彫刻の森美術館の印象を「彫刻作品が屋外で生き生きとしています」といい、美術館に撮影を申し込んだところ温かく受け入れられた。「箱根の屋外にあるバルザック像を、箱根の美術館はとても丁寧に扱って保管しています。洗浄して磨かれ、とても美しい状態です。年月を経たブロンズを撮影するのは本当に喜ばしかった。箱根のバルザックは多分50年以上そこにいるんだと思いますが、非常に美しく、触りたくなるようなものです」
そして、今作の撮影をこう振り返る。「私たちはロダンの感受性とその作品、人生をとらえようとしました。これらすべては一体となるべきものです。すべての芸術を楽しむためには人生は短すぎる。多くのすばらしい芸術作品を知らないままでいることでしょう。私が怖いのはすばらしい作品を忘れてしまうこと、知らずにいることです。でもすばらしい美に出来るだけ近づくこと、これが人生の幸せなのです。この映画を撮影したことで元気づけられました」
「フランス映画祭2017」は6月22日から25日まで、東京・有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇で開催。