「スプリット」で23役に挑戦!ジェームズ・マカボイが見せた“役者としての覚悟”
2017年5月13日 10:00
[映画.com ニュース] 「X-MEN」シリーズで知られるジェームズ・マカボイが、23もの人格を持つ男に扮したM・ナイト・シャマラン監督作「スプリット」(公開中)を引っさげて来日し、映画.comの取材に応じた。
潔癖症の男デニス、物腰柔らかな女パトリシア、無邪気な9歳の少年ヘドウィグといった23もの人格を持つ男(マカボイ)と、拉致監禁された3人の女子高生の戦いを描き、全米で3週連続第1位のヒットを記録したスリラー。マカボイは多種多様なキャラクターを瞬時に演じ分けており、圧倒的な演技力を見せ付けている。
マカボイは「役によっては直感的にすぐに入り込んで演じられた役もあれば、なかなかうまくいかない、簡単に入っていけないものもあった。そういった役に対しては、ある程度ルールをもって臨んだよ」と明かし、「肉体面の表現においては、首の姿勢はどうするか、肩はどうするか、立つときにもつま先ではなくてこの役の場合はかかとで立つというように、自分の中で役に対して正しいものを選んでいったんだ。声に関しても、役ごとに決まりごとを作った。アクセントを異なるものにしたり、声の出し方を変えたりね」と続ける。役ごとにパターンを設定するだけでも気の遠くなるような作業だが、マカボイは複数人格を演じる本質はそこではなく「実際に演じるときには、そういったもの(決まりごと)はなるべく忘れてやらなくてはいけない。ちゃんと“宿題”をやった上で、現場では(頭の中に比べて)よりダイナミックかつ忠実に演じなくてはならないんだ」と役を落とし込み、自在に表に出す作業こそが最も重要と強調する。
マカボイの言葉の端々からは役者としての生真面目さと強い自負が伝わってくるが、本作で印象的なのはマカボイの覚悟を示すような各キャラクターの外見だ。いわゆる“多重人格もの”であれば、髪型や衣装、小道具などで差異を付けたくなるもの。だが本作ではどのキャラクターもスキンヘッドで、デニスはメガネをかけている、パトリシアは女物の服を着ているといったくらいの変化しかなく、マカボイが今どの役を演じているかがぱっと見ではわからない。
その潔い演出がスリルを高め、複雑怪奇な面白さを引き出しているが、役者にとっては己の肉体のみで変化をつけなければならないという試練に他ならない。だが、マカボイは「逆にそれが面白かったんだ」と言い切り、「あまり過度にメイクや髪型、衣装で変化をつけてしまうと、すぐに観客は『カツラをかぶっているから彼女だ』『野球帽をかぶっているから彼だ』って思ってしまうだろう? 今回は、観客の皆さんに『一体誰なんだろう』『どっち(の役)なんだろう』って考えてもらいたかったんだ。カツラや衣装に頼らずに演じることで、謎めいた要素を出せたと思う。ものすごく微妙な、ニュアンスのところでわかってもらえるように演じるのは大変だったけどね」とほほ笑む。
「信ぴょう性や現実味よりも、僕自身がこだわったのはちゃんとよい物語をうまく伝えること。抽象的だったり現実的だったり、そこだけにとらわれているのではなく、どのような形でこの物語を伝えるべきかというところで監督とは話をしたよ」と振り返るマカボイ。来日中にはシャマラン監督の次回作「Glass(原題)」の出演が発表され、両者のタッグにますます期待が高まるところだ。
今回で来日は2度目となるが、自身のInstagramにも渋谷のんべい横丁ではしゃぐ様子を投稿するなど、日本を満喫したそう。プライベートではスコットランドのサッカークラブ「セルティックFC」の熱狂的サポーターとして知られており、かつて同チームに所属していた中村俊輔選手が、くしくもマカボイの来日タイミングでスーパーゴール(Jリーグの月間ベストゴールに選出)を決めて話題になったことを伝えると「彼ってまだ現役なの!? もう40歳近いよね。本当に素晴らしい選手だよね。彼が(2006年の)マンチェスター・ユナイテッド戦で決めたゴールがお気に入りなんだよ」と瞳を輝かせた。
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