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「人生タクシー」本編映像に見る“表現の自由” イランでは学校の課題で撮った映像すら検閲?

2017年4月12日 13:00

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コミカルな中にも風刺がチラリ
コミカルな中にも風刺がチラリ
(C)2015 Jafar Panahi Productions

[映画.com ニュース] イラン政府によって2010年から“20年間の映画製作禁止令”を受けたジャファル・パナヒ監督が、タクシー運転手に扮装して製作し、第65回ベルリン映画祭金熊賞に輝いた「人生タクシー」の新たな本編映像が、公開された。パナヒ監督の姪(めい)が登場し、コミカルなやり取りを繰り広げる。

パナヒ監督がタクシー運転手としてテヘラン市街を回り、さまざまな乗客と本音を語りあうさまを車載カメラで映し出す本作。死刑制度について議論する路上強盗と教師、交通事故にあった夫婦、金魚鉢を抱えた老女たち、映画監督志望の青年、海賊版DVDで生計を立てる男など、個性的な乗客が次々と登場する。

話があるといいながら「運転中は言わない」と宣言してパナヒ監督を困惑させる姪は「おじさん分かってない。賢くて教養のあるレディーに会うときは、まずお店に入ってフラッペとかアイスとかを頼むの。話はそれからよ」と大人びた態度でフラッペをねだる。そののち、「映画の授業で来月までに短編を1本撮ることになったの」と明かす。

姪は「おばあちゃんが来た日に近所で叫び声がしたの。娘に求婚しに来た人を追い返したんだって。娘さんの恋人はアフガニスタン人で、お父さんは求婚に来るまで知らなかったの。お父さんは娘さんを家に閉じ込めたけど、その恋人は家の近くで娘さんを待ち続けてた。息子たちが何度なぐって追い払っても、そのたび戻ってきた。私、全部撮影したの」というが、せっかく撮ったにもかかわらず内容が問題視され、上映許可が下りないという。おしゃべりな姪の明るいキャラクターが笑いを誘うが、それだけではなく2人の会話の中にイランの社会情勢が透けて見えると同時に、パナヒ監督の“表現の自由とは何か”というメッセージが感じ取られるシーンとなる。

人生タクシー」は、4月15日から東京・新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。

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