バリー・ジェンキンス監督「ムーンライト」に込めた思いを語り尽くすインタビュー映像
2017年4月3日 09:00

[映画.com ニュース] 第89回アカデミー賞で作品賞、脚色賞、助演男優賞に輝いた「ムーンライト」(公開中)のバリー・ジェンキンス監督の8分強に及ぶ長尺インタビュー映像が、公開された。
ブラッド・ピットが製作総指揮を務めたヒューマンドラマ。米マイアミの貧困地域で暮らす黒人少年シャロンが、自分の居場所を求めてさまよう姿を幼少期、少年期、青年期の3つの時代構成で描く。
本作は、タレル・アルビン・マクレイニーによる半自伝的な戯曲を基にしている。ジェンキンス監督は「実はタレルと僕の生い立ちはとても似通っていて、住んでいた地区も学校も同じだった。そして、2人とも母親がドラッグ中毒だったんだ」と運命的ともいえる出会いを回想する。本作で、シャロンの母で麻薬常用者のポーラ(ナオミ・ハリス)はシャロンの人生に影を落とす重要な存在。シャロンとの関係の変遷が大きな役割を果たしており、「007」シリーズで知られるナオミ・ハリスがこれまでのイメージを払しょくするような体当たりの演技を見せている。さらに「物語の“芯”のような存在だった。科学実験のように3部を通じて見守ることができる。キャスティングした後、崩壊する親子との関係や、僕自身の母親との関係について、ナオミと話し合ったんだ。彼女は誠実に取り組み、依存症になる人間の感情移入できる部分を見つけたんだ。依存症の人間を演じるのではなく、その過程を演じようとね」と称える。
主人公のシャロンには、それぞれの時代に分けて3人の俳優をキャスティングし、個人間の面会を禁じたという。「同じ役なんだけど、雰囲気が変わっていくんだ。だから僕らも違う俳優を選んだ。彼らの間で演技をまねたりしてほしくなかった。お互いに相談し合ったりして、予定調和の演技を彼らにしてほしくなかった」と意図を語ったジェンキンス監督は「僕にとって、今の世の中はお仕着せの世界だ。ソフトパワーというさりげない決まりごとが、世界から見たらアメリカにはたくさんあるんだ。例えば子どもに教えるときの歩き方はこうだとか、女性へのマナーや男性へのマナーなどでもね。これは男は男らしくという考え方で、当たり前のように存在する。古い概念だ。だから僕はスクリーンを通して、外見や肉体的な変化を含めた観客に主人公の成長を示したかった。それは僕が仕かけることで、彼らはそのままでよかったんだ」と熱い思いを吐露した。
シャロンには父親がおらず、麻薬ディーラーのフアン(マハーシャラ・アリ)と恋人のテレサ(ジャネール・モネイ)の元に身を寄せ、人生の歩み方を教わっていく。ジェンキンス監督は「僕はアメリカ中にいるシャロンのような子に焦点を当てたかった。突然、人生に他人が割り込み、そして放置される。観客にはシャロンの孤独を感じてもらいたい」と呼びかける。「子どもは近隣が育てるのさ。僕の場合は赤の他人に養ってもらっていた。母親ができなかったときに、僕に寝場所と食事を与えてくれた」とシャロンとの共通点を挙げ、「この映画で描かれていることはある意味、僕にとって自分の育った地域でよく知った世界だ。シャロンにとってのテレサは、僕の人生に関わってくれた“他人”を表しているんだよ」と私的な思いを打ち明けている。
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