山田洋次&吉永小百合「母と暮せば」の舞台で熱弁「戦争の悲劇を伝える責務がある」
2016年12月13日 19:00

[映画.com ニュース] 山田洋次監督作「母と暮せば」が12月11日、長崎大学坂本キャンパス医学部記念講堂で開催された「核兵器のない世界へ 長崎国際会議」で上映され、山田監督、主演の吉永小百合が意見交換会に出席。長崎市民や学生、海外からの参加者ら約300人の観客を前にして、劇中の登場人物のモデルにもなった土山秀夫元長崎大学長らとトークを繰り広げた。
本作は、終戦から3年、長崎で助産婦をしている伸子(吉永)の下に、原爆で命を落とした息子・浩二(二宮和也)が亡霊となって現れ、かけがえのない時間を過ごしていくさまを描く。「長崎大学の学生の浩二が死んでしまった話ですが、こういう悲劇が第二次大戦中に何百万どころではない犠牲者ひとりひとりにこのような悲劇があったことを想像してもらいたい」という思いから、本作の製作に至ったことを明かす。そして「(物語で描かれるような悲劇を)僕ら、戦争を経験した世代は伝えていかねばならない。それが責務だと思います」と強く訴えかけた。
この日は、被爆者の高齢が進むなか、被爆の実相を次世代に継承する活動を後押ししているユース非核特使の若者たちも登壇。劇中で描かれる核兵器による悲劇に対して「核兵器はいかに愚かなものかと感じました」と話すと、吉永が「この映画に関わり、こんな形で3年も息子を待っていた母がいたことを実感しました。核兵器を根絶するため、もっと声を出して世界に向かってアピールしなくてはならないと撮影中に感じていました」と若者たちの真摯な意見を受け止めていた。
浩二のモデルとされる土山氏は「モデルにはなっていないのではないでしょうか。浩二は死んでいるけど私は生きている」と冗談めいて話しながら、「ただ、メンデルスゾーンのくだりは実話。また浩二が憲兵に捕まえられたのは兄のエピソード」と劇中で描かれた挿話に実際の出来事があったことを告白。そして「見終わってしみじみと原爆の非人間性、戦争の不条理を考えさせられます」と作品の感想を述べていた。
第89回アカデミー賞外国語映画部門の日本代表に決まった本作に関して「より多くの人に見てもらえたら。この映画で伝えたいことがたくさんある」と話す山田監督。「国同士の憎しみをあおることが戦争になる」として「どこの国でも話し合って解決しないことはない。憎しみから生まれる良いことはない」と説いていた。
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