「詩は全体主義や野蛮な行為に勝利する」リティ・パン監督、新作「エグジール」を語る
2016年11月26日 15:50

[映画.com ニュース] 第17回東京フィルメックスの特別招待作品「エグジール」が11月26日、東京・有楽町朝日ホールで上映され、リティ・パン監督がティーチインを行った。
パン監督を投影したような少年の生活を、時にリアリスティックに、時に幻想的に描き出す。クメールルージュ時代の様々な映像やスローガンなども引用し、過去作とは異なる詩的なアプローチで母国が被った歴史的悲劇を映す。
「個人的な作品で、小さなオブジェがクメールルージュの記憶を想起させます。何より言いたいのは、詩や詩情よいうものは全体主義や野蛮な行為に勝利するということを描きたかった」と本作のテーマを説明する。
パン監督は1979年にフランスに亡命した。「クメールルージュの政権下、私は子供でしたが、誰に教わったのでもなく“生存しなければ”という思いが強くありました。そこでは、記憶や思い出にしがみつくことが必要で、子供時代に父親が読んでくれた詩を思い出していました」と振り返る。流刑、亡命を意味するタイトルに触れ、現在の移民、難民問題にも共通することだと指摘し「生まれた地から切り離され、どこにいても、どこにもいないような状況」だと自身の体験を語った。
戦争や虐殺など悲惨な経験をした人々にとって、その体験を自分の言葉で語ることは難しいといい「自分自身を再構築、和解するために他人の言葉で描かれた詩が必要でした。日本では、広島(原爆投下)の後に大江健三郎さんが素晴らしい仕事をされました」と記憶と言葉の重要性を説いた。
第17回東京フィルメックスは、11月27日まで東京・有楽町朝日ホールほかで開催。
関連ニュース






映画.com注目特集をチェック

すごすぎて言葉にならない映画
【人類史上最悪の“ブラック仕事”爆誕】よく考えずに転職したら…死んで生き返る“無限労働”だった…
提供:ワーナー・ブラザース映画

日本の映画館は高すぎる!?
【そんなあなたに】衝撃の価格破壊! 2000円→750円になる裏ワザあります
提供:KDDI

「イノセンス」4Kリマスター版
【いま観ずに、いつ観る?】公開20周年記念、劇場“初”公開!“究極”の「イノセンス」が解放される
提供:TOHO NEXT

石門
就活中に妊娠、卵子提供のバイト、生活に困窮…壮絶、しかし共感する驚愕体験【100%超高評価作】
提供:ラビットハウス

35年目のラブレター
【感動実話に“とんでもない絶賛”の嵐】噂を聞きつけ実際に観てきたら…忖度なし正直レビュー!
提供:東映

ヤバい映画みつけましたよ
【いた…凄まじくクレイジーな監督が…!】壮大VFXの映画をほぼ1人で製作、撮影に7年、完成に12年
提供:Henge