「究極の3D映画」大根仁×松江哲明、ベンダース7年ぶり劇映画を絶賛
2016年11月12日 21:45

[映画.com ニュース] ビム・べンダース監督が3Dで撮り上げた最新作「誰のせいでもない」が11月12日、全国3スクリーンで公開初日を迎え、大根仁監督と松江哲明監督がヒューマントラストシネマ渋谷でトークショーを行った。
ベンダース監督7年ぶりの劇映画となる本作は、ジェームズ・フランコ、シャルロット・ゲンズブール、レイチェル・マクアダムスら豪華キャストを起用し、1つの事故が4人の男女の運命を変えていく様子をサスペンスフルに描く。ベンダース監督が「人物の心の深い奥こそ3Dで語るにふさわしい」とし、3Dで描くことに挑んだ意欲作だ。
松江監督は開口一番「見終わった時に『ベンダース、ついにやっちまったな』って感じたんですよ。3D表現に関して、もう『誰のせいでもない』以上のものは出てこないと思いますよ」と評し、「3Dで撮影した『Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』など、ドキュメンタリー作品で培った技術を劇映画で使っているイメージですね。安易にマネできない究極の3D映画です」と解説した。
一方、「最初に見たベンダース作品は『パリ、テキサス』。当時のベンダースらしさが戻ってきた感じなんです」と称賛した大根監督。「最初は3Dである必要性がわからなかったんだけど、見ていくうちに『なるほど』という瞬間があって。視点の映画なんですよね。主人公に寄り添って描かれる作品。最後のワンカットではっきりする。『パリ、テキサス』でカメラマンの役割を初めて意識したんだけど、ベンダースは常にルックが印象的な監督だと思う」と語った。
「3D映画って、実はミニシアター作品と相性がいいと思うんです」と松江監督。「3Dメガネをかけることで視界がどうしても狭くなる。ハリウッドのスペクタクル映画の場合、余計ペラペラに見えちゃう時があるんですよね。『誰のせいでもない』のような心の中を描く作品だと、万華鏡をのぞいているような感覚に陥って、より心象風景が見えてくる」と話すと、同意した大根監督は「感覚的なんだけど、時間経過が多いものにも適しているかもしれないね。3D映画を撮ることに興味はなかったけど、この作品のようなテイストだったらやってみたいかな」と創作意欲をにじませた。
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