岩井俊二監督「ヴァンパイア」は“ロス”になるほど「一番すっきりできた作品」
2016年10月29日 16:00

[映画.com ニュース] 東京・六本木で開催中の第29回東京国際映画祭の「Japan Now」部門で特集が組まれた岩井俊二監督が10月29日、2011年の監督作「ヴァンパイア」の上映後に行われたトークショーに出席した。
カナダで撮影を行った全編英語の純愛劇。死を求める少女たちと、血を求めずにはいられない青年、孤独な魂たちが引き寄せられるさまを通し、命とは何かを美しい映像でつづった。吸血欲望から逃れられない、高校の生物教師サイモンをケビン・ゼガーズが演じ、岩井作品の常連である蒼井優が、日本人留学生のミナ役で共演している。
“バンパイアマニア”を自認する岩井監督は、オムニバス映画「ニューヨーク、アイラブユー」の撮影でニューヨークに滞在中、日本では当たり前のことが外国ではオリジナリティになることに気づき、「小さな映画でも撮ってみたいと思った」と当時の意気込みを述懐。血に執着した異質な人間の姿から、「人に言えない秘密や二面性といった、ばかげているが、かわいくもあるもの」を描こうとしたと明かした。
さらに、「北村龍平監督や紀里谷和明監督がハリウッドに果敢に挑戦しているのを見ていたが、自分はきわめて趣味的なことをしたい」とインディペンデントの道を選んだ理由を告白。「決着がつかずに終わる作品が多いが、『ヴァンパイア』は自分の中で一番すっきりできた」と言い、「自分の好きなものを詰め込んだ玉手箱のような作品。完成後はロス状態になった。すっきりしたし、思う存分やれた」と思い入れを語った。
また、“レディーバード”というハンドルネームの女性の地下室の天井に空の写真が貼ってあったのは、寺山修司監督作「ボクサー」の「パクリです」と告白。さらに、主人公の母親で、病身で口がきけない老女を演じたアマンダ・プラマーは、カメラが回っていない場所でも「んん」といううめき声とジェスチャーだけでコミュニケーションをとっていたという裏話を披露し、「一切英語は使わなかった。それでも支障はなかった」とさらりと語り、会場からは驚きの声がもれた。
第29回東京国際映画祭は11月3日まで開催。
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