リリ・リザ監督、映画製作の使命は「インドネシア人が"何者”かを追い求めること」
2016年10月29日 06:00

[映画.com ニュース] インドネシア映画史上最大級のヒット作「虹の兵士たち」のリリ・リザ監督による「Emma'マザー」が10月28日、第29回東京国際映画祭の特集企画「国際交流基金アジアセンターpresents『CROSSCUT ASIA #03 カラフル! インドネシア』」で上映され、リザ監督と主演のチュッ・ミニ、共演のヤヤン・C・ヌールがTOHOシネマズ六本木ヒルズでのティーチインに出席した。
映画は、インドネシア副大統領ユスフ・カッラの母親の伝記を基にした物語が展開。1950年代後半、“一夫多妻制”の風習が残るスラウェシ島南部を舞台に、第2夫人の存在によって生活を一変させられた主婦アティラ(チュッ・ミニ)の日常を、息子の淡い恋模様を織り交ぜて描く。
16年は「再会の時 ビューティフル・デイズ2」も手掛け、精力的な活動を続けるリザ監督は、「自分は比較的恵まれた環境で創作活動ができているので、ただ映画をつくるだけでなく、インドネシア人が“何者”であるかという疑問を追及するという使命を持っている」と、映画人としての在り方を語った。さらに「小津安二郎監督は20年で30本以上も映画をつくった。私が小津さんに近づくためには、もっとビタミンを摂取しないと!」と、会場の笑いを誘った。
「監督は私にとって先生でもあるんです。キャスト全員でシナリオの読み合せをする前に、2カ月も役作りに付き合ってくれたわ」と、主演のミニが語ると、アティラの母親役を演じたヌールが、「私は『何か役はない?』って、自分から監督に出演を依頼したの。インドネシアの中でも最高の監督のひとりだと思っているからね。監督の期待に応えるために15日で7キログラムも減量して撮影に臨んだわ」と、撮影時の苦労話を明かした。
劇中でアティラが織る伝統衣装サロンについて質問が出ると、「サロンは人と人の関係を強めるという意味合いを持ち、代々子どもに受け継いでいく大切なもの。また、舞台となったスラウェシ島南部や一部の地域では、結婚式などの機会に贈るという独特の文化もありますね」と監督が答えると、「ちなみに映画で登場するサロンは、スラウェシ島南部でしか見られない独自のものなの」と、ヌールが付け加えた。
第29回東京国際映画祭は、11月3日まで東京・六本木ヒルズほかで開催。
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