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べネチア映画祭、フィリピン社会映したラブ・ディアス監督作が金獅子賞

2016年9月12日 13:30

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フィリピンのラブ・ディアス監督
フィリピンのラブ・ディアス監督
写真:AP/アフロ

[映画.com ニュース] イタリアで開催中の第73回べネチア映画祭が現地時間の9月10日に閉幕し、下馬評で人気の高かった作品のひとつであるフィリピンのラブ・ディアス監督作「The Woman Who Left」が金獅子賞を受賞した。金獅子のタイトルが発表になると、プレスが集まった会見場には拍手と歓声が沸き起こった。

ディアスの作品は長尺なことで知られ、今年のベルリン映画祭にも 482分の大作が出品されたばかり。前作に比べると今回は226分と“短め”で、アプローチもわかりやすい群像劇だ。無実の罪による30年間の服役を経て出所したヒロインと、彼女に関わる人々を軸にした人間模様。受賞会見で、「なぜ貧しく虐げられた人々ばかり描くのか」という質問に監督は、「それがフィリピン社会の鏡だから」と一言。全編モノクロで淡々と物語が進むなか、徐々にドラマはクライマックスへと向かい、清廉なヒューマニズムを謳いあげる。

今年の受賞作品を見ると、革新的で大胆な作品、個性的な若手に軍配が上がった印象だ。審査員グランプリに輝いたのは、審美的な映像でバイオレンとな復讐劇を描いたトム・フォードの「Nocturnal Animal」。監督賞はメキシコの気鋭アマット・エスカランテの「The Untamed」と、ベテラン、アンドレイ・コンチャロフキーの「Paradise」が分け合った。エスカランテの作品は、現代のメキシコ社会の問題を比喩的に描いた社会派ドラマとSFが融合したジャンルを超越した作品で、批評は賛否に分かれていた。一方コンチャロフスキーはドイツのナチ強制収容所を舞台に、かつて友人だったドイツ人兵士とユダヤ人女性を双方の立場からとらえ、評価も高かった。

男優賞は、故郷に帰ったノーベル賞作家を通して村社会をみつめたアルゼンチン映画「The Distinguished Citizen」のオスカル・マルチネス に、女優賞にはオープニング作品のミュージカル「La La Land」で多彩な芸を披露したエマ・ストーンに贈られた。また新人俳優に与えられるマルチェロ・マストロヤンニ賞は、フランソワ・オゾンの「Frantz」で、第1次大戦で恋人を失ったヒロイン役のポーラ・ビールが受賞。ビールは亡き恋人の旧友で魅力的なフランス人兵士(ピエール・ニネ)に徐々に惹かれていくヒロインの多彩な魅力を表現し、オゾン監督の女優選びの巧さを実感させる。

脚本賞に輝いたのは、ナタリー・ポートマンがケネディ元大統領夫人ジャクリーヌ・ケネディに扮したチリのパブロ・ララインの意欲作、「Jackie」のノア・オッペンハイム。ラテンアメリカの作品は今回3つの賞に絡み、その勢いを印象づけた。

審査員特別賞は、受賞作品のなかで最もブーイングの多かったアナ・リリー・アミルプールの「The Bad Batch」。ジム・キャリーキアヌ・リーブスがカメオ出演した近未来SFでジャンルものエンターテインメントという体裁だが、審査員長のサム・メンデスは、「パワフルで個性的。妥協のなさを感じさせる」と評価した。

また今年の栄誉金獅子賞はジャン=ポール・ベルモンドイエジー・スコリモフスキに、ジャガー・ルクルトの主宰する監督・ばんざい!賞は、「CUT」のアミール・ナデリに授与された。(佐藤久理子)

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