鬼才ソクーロフ監督がルーブルの迷宮へ誘う「フランコフォニア」日本版予告編完成
2016年9月8日 10:00
[映画.com ニュース] ロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフ監督が、フランスのルーブル美術館をテーマに撮り上げた最新作「フランコフォニア ルーヴルの記憶」の日本版予告編が完成した。
同作は、ロシアのエルミタージュ美術館を90分間ワンカットで撮影した「エルミタージュ幻想」や、イッセー尾形が昭和天皇を演じた「太陽」などで知られるソクーロフ監督が、12世紀から現在に至るまで、要塞、宮殿、美術館と形を変えながら、パリの街を見守り続けているルーブルを主役に据えて描いた意欲作だ。
映画は、美術品を運ぶ船の船長とのSkypeによる通信を映す「現在」、第2次世界大戦時のナチスドイツのパリ侵攻に伴う美術品の保護や大疎開を描く「1938年~1940年」、諸国からの略奪品をルーブルに収容した皇帝ナポレオン1世と、ドラクロワの名作「民衆を率いる自由の女神」に描かれているフランスの象徴マリアンヌの亡霊が語り出る「時間の狭間」という3つのパートで構成されている。作者も被写体も今はもうこの世におらず、幽霊か、あるいは歴史の生き証人かのような絵画や彫刻が静かに居並び、すべてを見てきたルーブルの「記憶」をたどることで、人類の芸術と戦争の歴史を紐解いていく。
予告編は、1940年のナチス軍のパリ進行時の実際の映像が使用され、ナポレオン1世の亡霊が館内をさまようフィクション部分と融合。大半をルーブル美術館内で実際に撮影した美しい映像がふんだんに織り交ぜられており、ルーブルに迷い込んだような気分を味わうことができる映像に仕上がっている。10月29日からユーロスペースほかにて全国順次公開。