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満島ひかり「愚行録」でベネチアデビュー!石川慶監督の演出に最敬礼

2016年9月8日 17:00

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満島ひかりと石川慶監督
満島ひかりと石川慶監督

[映画.com ニュース]第73回ベネチア国際映画祭で9月6日(現地時間)、日本からオリゾンティ部門に出品された「愚行録」が公式上映され、本作が初長編となる石川慶監督、出演した満島ひかりらがレッドカーペットを踏んだ。裾を引きずるトレーン・スタイルのグッチの鮮やかなドレスに身を包んだ満島は、満場の拍手を浴び「ベネチアに来て、歓迎されていることを実感できました。映画祭ってどういうことをするのだろうと思っていたんですが、石川監督の長編ベネチアデビューにお供できてよかったです。(同行できなかった主演の)妻夫木(聡)さん、かわいそうと思いました(笑)」と語った。

貫井徳郎氏の同名小説を映画化した本作は、未解決の一家惨殺事件を追う雑誌記者を通して、理想的に見えた家族の裏の姿、衝撃的な秘密が明らかにされていく群像劇。公式上映に先立つ会見で石川監督は、本作の映画化に惹かれた理由をこう語った。

「原作を読んだときに、この小説自体が日本の縮図という感じがしました。日本はヨーロッパのような目立った階級社会ではないですが、階級差は存在しています。告白のスタイルで各人物がチャプターごとに一人称で語っていく形式はチャレンジでしたが、映画化するのは意味があることだと思いました」

満島は、石川監督について「映画監督としてとても誠実な方だと思いました。難しい題材なので、ディスカッションができないと大変だなと思ったんですが、俳優の話をとてもよく聞いてくれるところに惹かれました」と演出を称賛した。

本作はまた、撮影監督に日本人ではなく、ポーランドのピオトル・ニエミイスキを起用したところも特徴的。ポーランドの映画学校に通った監督と同窓だったことがきっかけという。現在と過去がフラッシュバックで描かれる様式で、現代はグリーンがかった、大胆な暗めのトーンにまとめている。

ニエミイスキは、「暗いストーリーに合わせて全体的に暗くしましたが、過去の映像はライトを明るく入れ、それぞれの人生を楽しんでいる状態を光で表現するように心がけました」と語った。満島は「リアルに撮るのではなく、美しさのなかから悲しさを浮き立たせるような想像的な映像」と語る。石川監督は本作への影響として、尊敬するドゥニ・ビルヌーブの「灼熱の魂」をあげるとともに、ポーランドの世界的な巨匠クシシュトフ・キェシロフスキーのファンであることも明かした。

種明かしが重要なダークスリラーというより、現代の日本社会に蔓延するどんよりとした閉塞感や病を表現した人間ドラマと言える。日本公開は2017年2月を予定。(佐藤久理子)

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