「レッドタートル」監督、ジブリ作品への理解示すも「模倣しようとは思わなかった」
2016年8月31日 23:30
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[映画.com ニュース] スタジオジブリの最新作「レッドタートル ある島の物語」の会見が8月31日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われ、メガホンをとったマイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督が出席した。
オランダ出身のビット監督は、8分の短編作品「岸辺のふたり」で第73回アカデミー賞の短編アニメ賞を受賞。同作を見た鈴木敏夫プロデューサーが長編製作を依頼したそうで、ビット監督は「尊敬する高畑勲監督から長編映画の製作全般について助言を受ける」ことを条件に快諾。アーティスティック・プロデューサーとして参加することなった高畑監督やスタジオジブリと、シナリオ、絵コンテから効果音・音楽に至るまで何度も打ち合わせを重ね、オファーから10年の歳月をかけて完成させた。
「ジブリ作品の美学」を聞かれたビット監督は、「特定した美学はないと思うが、宮崎駿さん、高畑勲さん独自の美学はあると思う。ジブリ作品に共通するのは繊細さと大人っぽさ」と熱弁をふるい、そのうえで自身の作品を「本作でそれを模倣しようとは思わなかった」と解説。その一方で、「僕の作品とジブリの作品と似ているところがあるとすれば、一種の繊細さ。特に高畑監督の『ホーホケキョとなりの山田くん』は俳句の様な作品で素晴らしかった。僕が目指すものも、それに近いところはあると思う。そして、自然に対する敬愛、そのなかにある人間の有様といったテーマ性も、僕が追及するものと似ているところがある」と共通点を挙げた。
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本作は、スタジオジブリが初めて海外の監督をプロデュースしたことでも注目されている。「今後も海外の監督と仕事をする予定はあるか」という質問があがると、客席にいた鈴木敏夫プロデューサーは「マイケルは特別だったという気がします。この映画のプロデューサーの1人として、彼の作った短編がとにかく大好きで、そのマイケルが長編を作ったらどうなるんだろうとう好奇心だけで今回は作りました。だから、これをきっかけにそういうことをどんどんやっていくかといったら、出会いがあるかどうかだと思っています」と言及した。
また、本作は人物のセリフがないことが大きな特徴だが、ビット監督はその意図を「最初は少しセリフのある作品として構想していた。セリフがないとストーリーがうまく伝わらないのではという思いもあったし、キャラクターの人間性を強調するために必要かなと思った。書きながら違和感も覚えていたが、最後にはセリフを残すことになった」と当初の方向性を告白。だが、「ジブリの方から連絡が届いて『この作品は実はセリフはないんじゃないかという結論に至った』と。僕はセリフの必要性を主張したが、『セリフが必要ないどころか、ないほうが強い作品に仕上がる』という意見を提示してきた」と明かし、「セリフがないというのは映画として怖いところもあるのに関わらず、ジブリさんが作品を信じてくれたことに安心した」と強い感謝と信頼を示した。
映画は、荒れ狂う海に放り出されたものの、九死に一生を得て無人島に辿り着いた男が主人公。男は島からの脱出を試みるが、不思議な力で何度も島に引き戻されてしまう。やがて絶望する男の前にひとりの女が現れる。「レッドタートル ある島の物語」は、9月17日から全国公開。
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