なぜ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」が女性の共感を得るのか?ウゾ・アドゥバ&ルビー・ローズが解説
2016年7月2日 12:00
[映画.com ニュース] アメリカの女性刑務所を舞台にしたNetflixオリジナルドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」の出演者ウゾ・アドゥバとルビー・ローズが来日し、映画.comのインタビューに応じた。
ベストセラーとなったパイパー・カーマンによる実録ノンフィクションを元に、ニューヨークの裕福な家庭で育ったバイセクシャルのお嬢様パイパー(テイラー・シリング)が、過去に犯した罪で刑務所行きになり、個性豊かな女囚たちにもまれるなかでのし上がっていくさまを描く。エキセントリックな言動が特徴的な名物キャラクター・スーザンを演じたアドゥバは本作でエミー賞に輝き、モデルとしても国際的に活躍するローズはシーズン3に登場する新キャラクターでパイパーと恋仲になるステラを演じている。人気の高さを受け、すでにシーズン7までの製作が決定している。
本作の最大の特徴を2人に聞くと「女性が指揮をとっているドラマという点で、今までとは型破りだと思う。監督も脚本も、もちろん出演者も女性。その体制がこのドラマをよりよいものにしている」(ローズ)、「女性がどういうものでいかに力強く愛情深いのか、ワンパターンな描き方から逸脱し、多面的に描いている。今までテレビに登場してきた“女性”というものの壁をぶち破っている作品」(アドゥバ)と徹底した女性目線での作品づくりを挙げる。
ローズはさらに「年齢・体型・人種……本当に色々なタイプの女性が登場するから、さまざまな女性たちに共感できる。私はいち視聴者として、(父親にバイセクシャルの恋人と引き裂かれた過去を持つ)プッセイ(サミラ・ワイリー)のキャラクターに1番共感して見ていたの。みんなからよく聞くのは、『このドラマを見て人生が変わった』ということ。これだけ多くの声を寄せられるシリーズはなかなかないわ。自分の視野を広げてくれるの」とファン目線を交えて手ごたえを語る。アドゥバも同調し「女囚たちが異質な存在ではないんだというのが、彼女たちの真の姿が見えてくるにつれて少しずつわかってくる。女性が指揮をとるシリーズで、女性の強さや“女性性”にエールを送るものってなかなかないと思うわ。だから女性だけでなく男性も見るべきね。今の社会は何かとレッテルを貼って分類するけど、そんなのは何の意味もないって気づかせてくれる」とほほ笑んだ。
両者が語るように、女囚のみならず刑務官も含めた多種多様かつリアルな人物像が、世界中で多数のファンを獲得している大きな要因といえる。アドゥバは女囚たちのボス“レッド”(ケイト・マルグレー)を例に挙げて「自分にもああいった叔母がいる。レッドのキャラクターを見ていると、女囚以前に生身の人間なんだということをはっと意識させられるわ」、対するローズはスコットランド人と日本人のハーフ・ソーソー(キミコ・グレン)の描き方について言及し「ソーソーみたいに虚言癖のある人は実際にいると思う。でも、本作では意地悪な描き方をしていないの。たとえば虚言癖だって、認められたいとか人気者になりたいといった根源的な欲求からくるものよね」と共感を語る。
“共感”という観点においてはそれぞれが演じた役柄も同様だ。アドゥバは「スーザンは無垢(むく)な子どもなんだけど、子どもって怖いよねというアプローチで演じていたの。彼女はクレイジーな人間ではなくて、誤解されている。恋に焦がれる人物でもあるわ。そういった部分はすごく共感できたし同情した」といとおしそうな表情を見せる。
ローズは「ステラはパイパーと(元恋人の)アレックス(ローラ・プレポン)の三角関係の要素がメインの役割。(パイパーにとって)アレックスの代わりという立ち位置だから、ちょっとした片思い状態なの。パイパーは本当はアレックスが好きだから、ステラに興味なんてない。ステラはステラで、外に出てもお金もないし友達も家族もいない。役に入り込んじゃって、抜け出すのには時間がかかったわ」と振り返った。
「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」は、Netflixで第4シーズンまで配信中。