日本初の外国人杜氏、日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!」に期待「日本酒を知ってほしい」
2016年6月24日 17:00

[映画.com ニュース] 映画ジャーナリストの小西未来氏が監督し、日本酒の魅力に迫った長編ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」に出演した京都府・久美浜町の「木下酒造」の杜氏(とうじ)、フィリップ・ハーパー氏が映画.comのインタビューに応じた。
映画は、外国人として史上初めて杜氏になったイギリス人のハーパー氏、神奈川県・鎌倉市在住の米ジャーナリストで“日本酒伝道師”として注目されるジョン・ゴントナー氏、岩手県の老舗酒造「南部美人」5代目蔵元の久慈浩介氏の3人に密着。それぞれに歩んできた背景や立場の異なる“日本酒のプロフェッショナル”3人の挑戦や苦悩を、関係者のインタビューなどを交えてひも解いていく。
杜氏とは、日本における酒作りの最高責任者のこと。66年に英国で生まれたハーパー氏は、オックスフォード大学卒業後、日本の英語教師派遣のJETプログラムで88年に来日。滞在中に日本酒の魅力に気づき、業界入りを目指したという。10数年の酒造経験を積んだのち、独自の視点で「玉川自然仕込山廃純米」「玉川 Time Machine」といった新たなブランドを生み出しファンを獲得している。来日当時を振り返り「日本に興味があったから来たわけじゃなく、とりあえず海外で暮らしてみたい、色々な言葉と接してみたいということしかなかった。頭空っぽの20代だから(できた)。ちゃんと考えていれば(日本酒業界に入ろうなんて)やらない」とほほ笑む。
普段、映像系メディアの取材は極力避けているが、参加を固辞しても決して諦めなかったという小西監督の熱意に押される形で本作の出演を決意した。「小西さんが口説き上手だった。メールをいただいて1度断ったのですが、またメールが来て『ご挨拶だけでも』と。東京からうちの蔵まで来てもらうだけでも4時間くらいかかる。そうやって断りにくくしていったんですね。時間もお金もかかっているわけですから思いが伝わりましたし、逃げ切れなかった」と冗談交じりに振り返りながらも、「本作で得た最大の収穫は、小西さんと知り合えたこと。日本酒を知ってもらおうとすることは仕事の一部だと思っていますので、本作に参加させてもらったことが、そういう(日本酒の認知を広げる)働きをしてくれるんだったらうれしい」と期待を寄せた。
英国人という利点を生かして外国人向けの専門書を手がけ、最近では「灘酒研究会」が100周年を記念してインターネット上で無料公開した「改訂 灘の酒用語集」抜粋版の英訳を担当するなど、日本酒の魅力を世界に発信し続けている。劇中でも、各国で清酒(日本酒)作りに励む外国人が多数登場するが「世界でも、日本酒を仕事にしている方が増えてきている。海外でも酒蔵を作ってる方は増えていますし、完全に新しい時代の入り口だと思いますね。色々な国で、清酒を作ろうとしている個人と企業が増えつつある時代ですから、今までと違う世の中になってくると思います」と清酒の将来について言及した。
「僕の1番の存在価値は、酒を作って喜んでもらうこと」と杜氏としての矜持(きょうじ)を明かしたハーパー氏は「日本酒を知っている人が見ると面白いところもあると思いますが、どちらかといえば日本酒を今まで考えたことも接したこともない方に見てもらって『オモロイな』と思ってもらって、日本酒に触れるきっかけになることを期待しています」と結んだ。
「カンパイ!世界が恋する日本酒」は、7月9日から全国公開。
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