WOWOWシナリオ大賞作「稲垣家の喪主」、ドラマ決定で崔洋一監督も「洒脱な笑いの世界楽しみ」
2016年3月16日 17:30

[映画.com ニュース] 第9回WOWOWシナリオ大賞の授賞式が3月16日、東京・赤坂の同局で行われ、424通の応募の中から岩手県出身の小山ゴロさんの「稲垣家の喪主」が大賞に輝いた。
あがり症の原因が父の遺伝だと悟った少年が、自分が喪主を務めることになるかもしれない可能性のある親類を早く結婚させようと奮闘する物語。2016年内に同局でドラマ化されることも決まり、小山さんは「この2~3年、最後まで書くことが困難になって、今回も最初の20枚くらいでパソコンに入れっぱなしにしていた。でも、どうしても最後まで書き上げたかった。最終選考に残っただけで満足していたけれど徐々に大賞を取りたいと毎日願うようになっていました。どんな稲垣家の人々に出会えるか楽しみにしています」と喜びをかみしめた。
審査委員長の崔洋一監督は、「洒脱な笑いの世界が、どう映像化されるか楽しみ。小山さんの人生にとっても大きなこと」と評価。来年の節目となる第10回に向けては、「9回までの質をりょうがするものを求めていくことになる正念場。大いなる冒険心、探求心、好奇心をもって、既存の概念にとらわれることなく新しい世界を築いていただきたい」と促した。
また、昨年の同賞で大賞を獲得した「双葉荘」をドラマ化したドラマW「双葉荘の友人」に主演の市原隼人と平松恵美子監督が会見。引っ越してきた家で、26年前に住んでいた幻影と交流するライターという特異な役どころを演じた市原は、「脚本家の方の実体験と聞いて、鳥肌が立った。幻影を見て、見て恐怖を抱かないということを常に頭の中に置いていた。触れられず言葉も交わせないので、筆談でやり取りをした不思議な空間で難しかったですね」と振り返っていた。
ストーリー上も幻影役の中村倫也と交流を深めていく。「触れられず言葉も交わせないので、筆談でやり取りをしたのですがなかなかない体験。中村くんとは同い年で、目の奥を見て会話ができました。不思議な空間で難しかったですね」と振り返った。
長年、山田洋次監督の下で共同脚本、助監督を務めている平松監督は「時間にまつわる物語で、何を見て何を感じるかが大切かを感じ取ってもらいたい」とアピール。市原も「ベースは夫婦の話ですが、事実と真実の違いを楽しんでいただければ。同じ類の話はないので、その新鮮さ、ファンタジックなロマンスも楽しめると思います」と自信のほどをうかがわせた。3月19日午後9時からWOWOWで放送される。
なお、第9回WOWOWシナリオ大賞ではほかに、さいこりえさん、山口智さん共同の「50才で、カフェ始めました」、牧圭一さんの「刑務所の土」、薮野ゆうきさんの「mind dive」の3作品が優秀賞に選ばれた。
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