ジャ・ジャンクー監督、「山河ノスタルジア」は「経済発展の影響受けた人々の感情描いた」
2016年3月3日 19:00

[映画.com ニュース] 中国のジャ・ジャンクー監督が3月3日、昨年のカンヌ映画祭コンペ部門に出品された最新作「山河ノスタルジア」の来日会見を、主演女優のチャオ・タオとともに都内で行った。
中国で実際に起きた4つの事件を描き、カンヌで脚本賞を受賞した「罪の手ざわり」に続き、ジャ監督の故郷である山西省を舞台にした一大叙事詩。「中国社会の急激な経済発展の影響を受けた人々の話。前作では暴力を顕在化させたが、今回は一般の人々の感情の変化を描いた。前作と非常に違うと見られるが、同じ構想を違った視点でとらえている」と説いた。
1999、2004、2025年を過去、現在、未来ととらえ、小学校の女性教師が幼なじみとの結婚、離婚による一人息子との別離、そして成長した息子の母への思いをつむぐ。25~50歳を1人で演じきったチャオは、「若い頃は身体機能を使った大きな表現で、40代はその若さがだんだん失われていく精神的な表現。大きなチャレンジでした」と振り返った。
99年の冒頭と25年のラストで、象徴的に使われているのが「ペット・ショップ・ボーイズ」が93年にカバーした「ビレッジ・ピープル」の「ゴー・ウエスト」。ジャ監督にとっても思い入れのある楽曲だそうで、「僕も若い頃、ディスコにしょっちゅう行っていたけれど、皆に歓迎された人気の曲だった。時代を受け入れた若者たちの気持ちを反映しているし、前へ進んでいこう、何かが変えられるという歌詞のイメージが的確だと思った」と満足げな表情を浮かべた。
そして、「特に若い人に見てほしい。人生はある年齢までいかないと分からないけれど、それが体験できるいい機会になる」と自信のアピール。チャオも、「1人1人の心の中に深い感動が届くことを祈っています」と訴えていた。
「山河ノスタルジア」は、4月23日から東京・渋谷のBunkamuraル・シネマほか全国で順次公開される。
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