ベルリン映画祭、難民問題映した伊ドキュメンタリーに金熊賞
2016年2月21日 13:00

[映画.com ニュース]2月21日に閉幕した第66回ベルリン映画祭は、もっとも下馬評の高かったイタリアのジャンフランコ・ロージ監督のドキュメンタリー、「Fear at Sea」が金熊賞とエキュメニカル賞を同時受賞した。本作は、アフリカからヨーロッパへ密航する難民たちの通過地点として知られる地中海の小さな島、ランペトゥーザが舞台。もともとは漁師たちの住む静かな島に、ハプニングが起きるさまを、12歳の少年の視点を通して描く。監督は住民たちに溶けこむため、1年半島に滞在して撮影したという。審査員長のメリル・ストリープは、「ストーリーテリングに長け、ニュアンスに富み、見る者の心を掴む、優れたドキュメンタリー。今年のベルリン映画祭の主役」と絶賛した。
銀熊審査員大賞に輝いたのは、ダニス・タノビッチの「Death in Sarajevo」。高級ホテルを舞台に、さまざまな人間模様を通して現代のサラエボの問題を浮き彫りにし、ロバート・アルトマンの映画のような豊かな群像劇という評価を得た。国際批評家連盟賞とのダブル受賞となった。
男優賞は、モハメド・ベン・アッティア監督のチュニジア映画「Hedi」に主演したマジ・マストゥーラに渡った。賞を授与した審査員メンバーのクライブ・オーウェンはその理由を、「優しく、繊細で的確な演技が見る者を夢中にさせた。満場一致で決まった」と語った。アッティア監督は、初長編監督賞も受賞した。かたや女優賞に輝いたのは、トマス・ビンターベアの「The Commune」に主演したデンマーク出身のトリーヌ・ディルホムだ。70年代に共同生活を営むグループのなかで、若い女性に夫を寝取られた妻が、ショックを乗りこえて再生するまでを描く。メリル・ストリープからトロフィを授与されたディルホムは、「彼女はわたしが尊敬する大女優。こんな賞を授与されるなんて、本当に夢のようです」と感動を露わにした。
銀熊監督賞に輝いたのは、こちらも離婚の危機に見舞われたヒロインを描き評価の高かった「Things to Come」のミア・ハンセン=ラブ。また銀熊脚本賞は、女性の群像劇を描いたポーランドの35歳の俊英、トマシュ・ワシレフスキの手に。こうしてみると、今年は女性映画が目立った印象だ。
その他、482分の大作を発表した「A Lullaby to the Sorrowful Mystery」のラブ・ディアスには、先鋭的な作品に送られる銀熊アルフレッド・バウアー賞が送られたほか、芸術貢献賞に、中国映画「Crosscurrent」で霧がかかった美しい映像をとらえた撮影監督、リー・ピンビンが輝いた。
全体的には賞がうまく振り分けられた、バランスの取れた受賞結果となった。(佐藤久理子)
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