「ワイスピ」撮影監督が明かす、ノーCGアクション満載「X-ミッション」ならではの撮影法とは?
2016年2月20日 12:00
[映画.com ニュース] サーフィン、スノーボード、フリークライミング、ウイングスーツ・フライングなどエクストリームスポーツをふんだんに盛り込んだアクションサスペンス「X-ミッション」(公開中)のエリクソン・コア監督が、作品の魅力を語った。
「ワイルド・スピード」(2001)の撮影を手がけたコア監督は、本作との共通点を「リアルにやること。見る者が実際にそこにいるかのように感じられるようにしている」と語る。コア監督の言葉通り、本作では名だたるエクストリームアスリートを多数配し、CGを一切使わないアクションにこだわった。「作り物のセットで撮ったり、ワイヤーアクションで済ませてしまったりしたら、観客との距離ができてしまう。この作品では実際に記録として撮ることで、より真実に迫ることができるはずだと思った」。
コア監督が本作の肝と語るのが、俳優のトレーナーも務めたというアスリートたちの存在。アスリートたちを「限界を追求している探求者だ」と呼ぶコア監督は、本作ならではの撮影法を持ち込んだと明かす。「映画では大概、俳優が演じる部分を先に撮り、そこからスタントマンに交替する。本作ではそういうことは一切やっていない。必ずアスリートが先にやったんだ。その結果、この映画に必要な信ぴょう性が感じられ、地に足の着いた作品となったんだ」。
さらに、臨場感を観客に与えるため、メキシコ、ベネズエラ、インド、スイスなど計11カ国にわたって撮影を敢行。「ロケ地での撮影ではアスリートたちの意見が反映され、その場所に決まったことが多かった。『どこに行ったらこれがうまくできるだろうか』を念頭に置いた。これは他の映画とは違う点だね。本作はロケ地の数でいうと『007』シリーズの2、3本分。自然の美しさを利用し、雲、太陽、雨、嵐といった自然(現象)に合わせて映像を作っていくことになる。その結果にはとても満足しているよ」。
世界各地の絶景で人間離れしたアクションが飛び出すとあって、撮影は苦難の連続だったというが、コア監督は「この作品には自然への敬意や、自然と一体になるエクストリーム・スポーツのアスリートたちへの敬意が核にある」と歓迎した様子。ハイライトが、スイスのユングフラウでのエピソードだという。「嵐がやってくるからと避難命令が出たんだ。私は登山ガイドの経験があったから、撮影隊長は20分で撮り終えることを条件に撮影を許してくれた。でも、人数をキャスト含めて8人に絞らなければならなかった。撮り終えてすぐヘリに飛び乗って避難したよ。食料もあまり持っていなかったから、生きるか死ぬかの状況になっていたかもしれないね。私としては魔法のように思い出深い撮影だ」。
「X-ミッション」は、若きFBI捜査官ユタ(ルーク・ブレイシー)が、超人的な運動神経を駆使して世界各地で犯行を重ねる集団に潜入捜査し、動向を探る。