「僕だけがいない街」伊藤智彦監督インタビュー ビスタとシネスコ、2つのサイズで描かれた時を越える物語
2016年1月29日 23:30

[映画.com ニュース] 1月7日から放送がスタートしたテレビアニメ「僕だけがいない街」。三部けい氏がヤングエース(KADOKAWA刊)で連載中のサスペンス漫画が原作で、何者かに母親を殺されてしまった売れない漫画家・藤沼悟が、時間を巻き戻す特殊現象「リバイバル(再上映)」により1988年に戻り、2006年とふたつの時代を結ぶ連続誘拐殺人事件に踏み込んでいく。今回は、テレビアニメの監督を務める伊藤智彦に、本作の見どころと製作の舞台裏を聞いた。
伊藤監督が分析する原作最大の魅力は「先が読めない展開」。アニメでも毎話の「引き」を強く意識しているという。また「人が通りすぎたあとに、奥の方から誰かがのぞいている」「肩越しに誰かが見つめている」という演出を多用することで緊迫感を表現。これは、海外のサスペンスドラマから取り入れた方法なのだという。
本作は、06年と88年というふたつの時代を描く物語だ。伊藤監督はこれを、06年をビスタサイズ(1.66:1)、88年をシネスコサイズ(2.35:1)で描くことで視覚的に表現した。さらに、回想や説明などのシーンは、映画のフィルムのような空間で展開される。これは、主人公・藤沼悟が体験する現象・リバイバル(再上映)をイメージしたもので、都合3種の画面演出が作品に盛り込まれる形となった。

また、88年は北海道が舞台ということで、15年3月にはロケハンが行われた。伊藤監督らは原作者の三部氏が劇中のモデルとして提示した各地を訪れ、現地の空気を作品に反映した。また、伊藤監督は「妻が当時(80年代後半)の北海道に在住しており、ストーブ周りの様子などは、アルバムに収められた写真を参考にすることもあった」という。
伊藤監督自身が主人公の悟とほぼ同世代だけに、共感できるポイントも多いという。劇中に名前があげられる「ドラゴンクエスト3 そして伝説へ…」「マスクマン」などは、88年の子どもたちが夢中だった作品で、当時を体験した記憶を持つ視聴者の郷愁を誘う。「本筋に関係はないが、あるある感を大事にしたい」と話す伊藤監督は、自身の88年を振り返り「いかにして部活をサボり、夕方5時からのアニメを見るかを考えていた」と笑みを浮かべていた。
土屋太鳳と満島真之介によるダブル主演も、放送前から話題を呼んだ。2人とも本作が声優初挑戦となるが、2人と会った伊藤監督は「しっかりと『芝居』をしており、こちらのオーダーに対するレスポンスが速い。これはおもしろくなりそうだ」という手応えを感じた。
一方、物語を彩る音楽は「悟の物語」であることを強調し、梶浦由記によって用意された約40曲のうち、ほぼ半数がモチーフを共有する「悟のテーマ曲」として制作された。これは、音響監督の岩浪美和が「今回は映画っぽくいきたい」と考えての構成なのだという。
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