GG賞ノミネート、「ドリーム ホーム」マイケル・シャノンが明かす現代アメリカの怖さ
2016年1月27日 17:00

[映画.com ニュース] 社会派サスペンス「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」で第41回LA映画批評家協会賞助演男優賞を受賞したほか、第73回ゴールデングローブ賞助演男優賞にノミネートされたマイケル・シャノンのインタビュー映像が、公開された。
映画の舞台は、世界の経済を混乱させたリーマン・ショック後の現代アメリカ。日雇い労働で生活資金を稼ぐシングルファーザーのデニス・ナッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は、住宅ローンの支払いが滞り、母リン(ローラ・ダーン)、息子と共に自宅から強制退去させられる。途方にくれたナッシュは、家族を養うべく自分たちを追い出した不動産ブローカーのリック・カーバー(シャノン)の元で働き始め、不動産業の真実を目の当たりにしていく。
「マン・オブ・スティール」(2013)で演じた悪役・ゾッド将軍が記憶に新しいシャノンは、経済的弱者をカモにするカーバー役で強烈な存在感を放ち、各方面から高い評価を得ている。シャノンは「恩恵を手にするには処世術が必要な世の中だ。今の世の中はとてつもなく不公平で、時には牙をむくこともある」と前置きした上で「私が思うに、リックはシステムの一部に過ぎない。彼の意志を超えて存在するシステムだ。彼は状況を利用して利益を得ようとしているだけだ」と考察する。
さらに、リックの生い立ちを紹介しつつ、成功者に見えていても生まれながらの強者ではないと強調する。「リックも決して特権階級育ちではないと思う。だからこそシステムの本質が理解できる。想像するに、リックは底辺からのし上がってきた人間だろう」。「リックの教養はせいぜいデニスと同程度だ」と語るシャノンの口ぶりからは、わずかな差が貧富を生み出してしまう現代アメリカの恐ろしさを感じ取ることができる。
「私にとって“家”とは、共に過ごす人たちのことだ。デニスがそれに気づくシーンが映画で美しく描かれている。愛する人がそばにいてくれたら、住む場所は関係ないんだ」と思い入れのあるシーンを明かしたシャノンは、前半のハイライトともいえる強制退去のシーンについても言及。「室内を動き回り、そのまま庭へ出る。俳優にも難しい挑戦だった。あの長いシーンをワンショットで撮りながら、すべての瞬間を最大限に生かさなければならない」と苦労を明かしている。
「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」は、ノーベル経済学賞受賞者ジョセフ・E・スティグリッツの著書「世界の99%を貧困にする経済」から着想を得ている。1月30日から全国公開。
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