辰吉丈一郎、現役への変わらぬ強い意志を告白「チャンピオンに返り咲く」
2015年10月23日 16:00
[映画.com ニュース] プロボクサー・辰吉丈一郎の20年間にわたる足跡を追ったドキュメンタリー映画「ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年」が10月23日、東京・六本木を中心に開催中の第28回東京国際映画祭の「パノラマ部門」でワールドプレミア上映され、辰吉と阪本順治監督がTOHOシネマズ六本木ヒルズでの舞台挨拶に立った。
劇場に詰めかけたファンからの熱烈な「辰吉コール」を受け入場した辰吉は、「こんにちは、どうも」と控えめに挨拶。ワールドプレミアを迎えたことについては、「俳優でもなんでもないボクサーなので、ちょっとドギマギします」と謙虚な答えに徹し、映画を「(1999年に亡くなった)父ちゃんと、うちの女房の父ちゃんに見せてやりたいね。2人のどういう感想があるか気になる」と思いを馳せた。
95年8月、海外にリングを求めていた25歳当時から、2014年11月、次男である辰吉寿以輝がプロテストに合格するまでの辰吉の姿をとらえた。JBC(日本ボクシング・コミッション)のルールにより国内戦ができなかったことや、左目の網膜剥離など波乱万丈のボクシング人生をおくってきたが、45歳にしていまだ現役を貫いている。今後の展望を聞かれると「現役をやっている最中に『今後どうしよう』とか、中途半端なことは考えられない」といい、「あくまで現役で、チャンピオンに返り咲くことしか考えていない」と変わらぬ強い意志を告白した。
また、20年にわたり、辰吉の生き様やボクシングに対する姿勢を丁寧にすくい上げた坂本監督は、「試合の映像はほとんどないわけですが、彼の発言の重みを大事にすると、逆にそういった動的なものは必要ない。彼の20年間の顔の変化も含めて、この映画の魅力としてとらえてもらえればうれしい」と呼びかける。そして、「辰吉君が引退したら発表しようと思っていましたが、何でか引退されないので、ずっと撮り続けていました。20年という節目と、次男のプロデビューを機に、膨大に撮り溜めた映像をまとめてみようと。辰吉君は、『ジョーのあさってはいつ撮るんだ?』と言っています」としみじみと振り返り、「辰吉君がこの映画を見た感想は、『俺が終わっていないのに何で映画が先に終わるんだ』というものでした」と笑顔で話していた。
「ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年」は16年2月公開予定。第28回東京国際映画祭は、10月31日まで。