「屍者の帝国」監督の製作秘話に細谷佳正ら声優陣が驚嘆!
2015年9月26日 19:20
[映画.com ニュース]夭折の小説家・伊藤計劃さんが残した作品をアニメ映画化する「Project Itoh」の第1作「屍者の帝国」の完成披露試写会が9月26日、東京・TOHOシネマズ日本橋でワールドプレミア上映され、細谷佳正、村瀬歩、花澤香菜の主要声優陣とメガホンをとった牧原亮太郎監督が出席した。
映画は、芥川賞作家・円城塔氏が伊藤さんによる序文を書き継いだ小説を映像化。物語の舞台は、死者をよみがえらせた「屍者」を労働力としている19世紀末のロンドン。医学生ジョン・H・ワトソンは、政府の諜報機関に命じられ、伝説の書物「ヴィクターの手記」の捜索を開始する。
主人公ワトソン役の細谷は、牧原監督作品に参加するのは「ハル」以来2度目となるが「また一緒に仕事ができるのが嬉しかった!」とニッコリ。一方の監督は、「ワトソンは、生きたい気持ちと、死んだ人と一緒に死者の世界へ行きたい気持ちの間で揺れている。以前仕事をした感覚から、彼ならその曖昧さを演じきれると思った」と起用理由を語った。
本作の感想を問われると、細谷は「伊藤さんと円城さんの関係は、ワトソンとフライデーの関係性なのかなって考えていました。円城さんの個人的な思いが本作に反映されているのかなって。そうやって見るとワトソンのセリフが心に刺さってくる」と神妙な面持ちで語った。一方、死後ワトソンによって屍者化されたワトソンの親友フライデー役の村瀬は「音響技術が本当にすごかった」と指摘。具体例を問われると、「例えば、屍者になったフライデーが、最初に目を開けた時の小さな息の音。吹き込んだ時は、あまりに小さい音だからきちんと拾えているか心配だった。だが出来上がった映像は、すぐ隣にフライデーがいるかのようなリアリティだった」と説明した。
元米国大統領の秘書を名乗る謎の美女ハダリー・リリス役の花澤が「私は原作を読んでいたので、あの膨大なストーリーをまとめ上げたことにまず驚きました!」と牧原監督を称賛すると、牧原監督は「脚本は2年くらい前から着手していたが、テキストが多いので、何が一番大事なのかを突き詰める作業が大変だった」と告白。さらに“何が大切か”を突き詰めた結果、「伊藤さんの序文をあえて使わなかった」と明かす。
その言葉に声優陣が驚くなか、さらに牧原監督は「はじめは伊藤さんの言葉こそが核だと思っていたが、伊藤さんと円城さんの関係性や言葉を引き継ぐということを考えた時、彼らの言葉をそのまま用いることがその答えではないと思った」と説明。さらに「何度も『伊藤さんに助けて!』って思いましたと、決断の連続だったという製作の苦労を明かした。
「屍者の帝国」は10月2日から全国で公開。また同プロジェクト第2作「虐殺器官」は11月13日、第3作「ハーモニー」は12月4日からスクリーンに登場する。
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