玄里から玄理へ、好奇心で進み続ける“第2ステージ”
2015年9月2日 07:00

[映画.com ニュース]主演作「水の声を聞く」で第29回高崎映画祭の最優秀新進女優賞を受賞した玄里が、玄理と名前を改め、新たなスタートを切った。第65回ベルリン国際映画祭フォーラム部門をはじめチョンジュ映画祭、香港映画祭に出品された本作を振り返るとともに、新たな名前で挑む“第2ステージ”を映画.comに語った。
以前から漢字を間違えられることが多かったそうで、7月から所属事務所移籍を機に、文字のバランスも良いことから玄理に改名したという。とはいえ、「ヒョンリ」という読み方は同じためか「何が変わったってことはないんですけど」とほほ笑み、地に足の着いた様子で信念を語る。「大きな役でも、小さな役でも、役に対してリサーチするっていう姿勢は変えたくないし、芝居は相手からもらうものだなと思ってやっています」と謙虚に、そして貪欲に役者道と向き合う。
「撮り終わってしばらくは何もできなくていいと思えるくらいに取り組もう」。約8年ぶりに長編映画のメガホンをとった山本政志監督から160ページはあろうかという「思いの詰まった」脚本を受け取り、決意したという。「水の声を聞く」は、宿のコリアンタウンでひと稼ぎしようと巫女(みこ)を始めた在日韓国人ミンジョンが、やがて宗教団体の教祖に担ぎ上げられ葛藤(かっとう)を抱えるなかで、自らのルーツを探っていくさまを群像劇として描いた。玄理は、日本語とともに留学して習得した韓国語を駆使し、希望と現実の間で揺れ動くミンジョンを演じ上げた。「私にしかできないものにしたいなというのは常々思っているのですが、やる前からこれは私にしかできないって自信をもってやれたというのは、転機だったのかもしれないですよね」
本作は当初、劇場公開のみの予定だったが10月2日にDVDがリリースされることになり、「劇場で見られなかった人にも見てもらえるのは嬉しい」と玄理は喜ぶ。映画祭に出席した際は海外の観客とともに鑑賞し、特にベルリンではヨーロッパ圏の映画ファンからの質問に文化の違いを気づかされることもあったようだ。主演を務めたことで「現場の見え方とか居方っていうのは当然変わりました」と言うが、「ひとつの現場で通じたルールが次の現場では通じるものじゃないというのはわかっているので、なるべく引きずらないようにやろうって思っています」と経験を糧に前進する。
日本語、韓国語に加え、英語も操るトライリンガルであり、英国で製作された実写作品「ストリートファイター 暗殺拳」ではブルガリアでの撮影に参加した。「英語でお芝居するのは楽しいですよ。もう1段ハードルが上がる感じで」と語る時、目を生き生きと輝かせる。「小さい時から結構あちこちで生活していたので、違う環境で何かするっていうのは好奇心のほうが勝つんですよね」。
「28歳なんで、そろそろお母さん役とかできるんじゃないかなっていうのはありますね。でも、やりたい役は無限にあるんですよ。まだまだ仕事を始めたばかりくらいの気持ちなんで、仕事してみたい監督はいっぱいいるんです」。そう語る玄理が見据える目標は限りなく大きい。「昔から変わらないんですけど、いろんな国の人と一緒に仕事してみたいっていうのはありますね。いろんな国の人と映画や自分の演技を通してつながれたら楽しいだろうなって、いつも思いながらやっているんです」。みなぎる好奇心を推進力に軽々と国境も文化の違いも飛び越えていく姿が目に浮かぶ。
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